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母は強し

私に遺言なんかありまへんで

歴史読本「広岡浅子」


母方の祖母は大正生まれ、女学校出身の文武両道で薙刀を振るう、母から言わせれば歩く辞書。世にいうハイカラさん。若くして夫(ワタシのおじいちゃん)を亡くし、身内から再婚を望まれたのを断固拒否し、シングルマザーとして母を育てためちゃくちゃかっこいい女性、と聞かされていた。
しかし、リアルというと。ワタシには躾にうるさい、厳しいおばあちゃんだった。

いまでこそ、ワタシの友人にもシングルマザーはいるし、彼女はダンナがいた頃より明るく自由で幸せそうにみえる。しかし、母は、当時は父親がいないということで身内にも憐れに言われたし、周りにもそんな風に(たぶん、いじめれらたんだとおもう)扱われたらしい。祖母には父親がいないことで後ろ指を指されないよう厳しく育てられたという。大正生まれのシングルマザーの道のりは大変だったようだ。
なんで再婚を頑なに拒んだのか、母にきくと「私にいえで肩身の狭い思いをさせたくなかったんやろ」ということだった。きくと、祖母自身が私生児だったらしい。武家ムスメの私生児とは。わからないけれど、祖母はワタシが思う以上にすんごく過酷な子ども時代を過ごしたのかも知れない。曽祖母は再婚したのか、どんな人だったのか、祖母亡き今はきく由もない。祖母は母を遅くして産んでおり、母が物心つく頃にはみんな亡くなっていたらしい。

めちゃくちゃ厳しかったおばあちゃんは家族で唯一、ワタシが自立することを認めて支援してくれた一人だ。いまでもやっぱり、お金持ちのお嫁さんが一番安定した終身雇用という信奉はあるかもしれない。でも。

たぶん、おばあちゃんはひとりムスメのおかあさんをシングルマザーで育てて幸せだったとおもう。

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