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家族の話

わたしのことしか知らない人は、夫を見ると驚くし、夫といるときのわたしを見ても驚く。
意外、と言われる。

夫は、初対面の人から十中八九「好青年」と言われるような人だ。
いつもにこにこしていて、毎朝出勤前に、まだ寝ている娘たちの耳元で「大好きやで。かわいいよ」とささやいていくような人間。
王道やトレンドが好きで、そんな自分を好きと言えてしまう人。
お花見やバーベキューで異様に幸せを感じるタイプ。
表面的にはそういうわかりやすい人で、でも少し深く付き合うとおかしな部分がたくさんあって、でもさらにコアまでいくとやっぱりまっとうな人、と認識している。

わたしとは、大きくちがう。

わたしと夫は性格も嗜好も思考もかけ離れているが、でももう10年以上一緒にいる。
何なら、10年以上ずーっとけらけら笑い続けている。
何だか知らないが、夫といると何もかもおもしろく見えて、笑いが尽きない。家でも、道端でも、かつては会社でも(同僚だったから)同じ空間にいると楽しい。
その理由は言語化できていなくて、言語化しなくてもいいかな、とも思っている。一緒にいて楽しいから夫なのか、夫だから一緒にいて楽しいのか、わたしには区別できない。

わたしのなかにある数少ない言語化しなくていいもの、それが夫の存在なのだった。
身近にして不思議な存在、である。

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