冬の話

マイナス2度までは、平気。
でも、あと1度下がると、寒さの質が変わる。
こまかくて乾いた雪に変わる境界線の温度だと思っている。

関東の冬は晴れて、乾いて澄んでいる。
風が冷たいのはつらいが、光を感じられるのがいい。
関東に移り住んで初めて、冬を好きになった。

雪国の冬は暗い。白は、決して明るい色ではない。
反射するべき光がないと、真っ白な雪景色は遠近感を狂わせる幕のように映る。
閉ざされた、という表現の意味がよくわかる。

ぼた雪がパウダースノーに変わっていくとき、空気から少しずつ水分が抜けていく。
その温度変化は手足のような末端じゃなくて、からだの芯に響く感じがしてすごくきらい。
あったかいコーヒーやお茶ではぬくまれない冷えがからだに入り込んでくる。
もういや、と思って寝てしまう。

雪はきらい、晴れた日が好き。
窓から見上げた空が青く晴れているだけで十分に幸福だと思える。

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