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JR西日本が赤字路線の収支を公表。対象路線の取り組みは?④ 姫新線

前回は山陰本線について紹介させて頂きました。
今回は姫新線の現状について紹介させて頂こうと思っております。山陰本線程では無いですが姫新線もそこそこ長い路線のため、今回も区間ごとに区切って考えていこうと思います。

↓前回の記事はこちら

姫新線の概要

まず姫新線全線の概要を紹介させて頂きます。
姫新線は兵庫県姫路市の姫路駅から岡山県新見市の新見駅に至る路線です。かつては大阪駅から急行列車が運転されていましたが、現在は普通・快速列車のみの運転となっており地域輸送が中心となっています。姫路駅~播磨新宮駅間は高速化工事、新型車両の投入等もあり利用客が多いため、今回収支は公表されていません。

播磨新宮~上月

(写真は姫路~上月で運用されているキハ127系)
【播磨新宮~上月の概要】
この区間は姫路近辺程ではないものの、利用者が多い区間で1~2時間に1本程度の本数が確保されています。また、2006年度から2009年度には高速化工事が行われ、新型車両投入、所要時間の短縮などが行われています。 この区間の輸送密度は932(2019年度)、営業係数は751(2017~19年度平均)。収支は6億円の赤字(2017~19年度平均)でした。

【播磨新宮~上月間の今後】
 前述の通り、この区間では十分な利用促進が行われています。利用促進が行われた姫路~上月間の利用者が2010年度と2015年度を比べると年間55万人程増加しています。今後は増加した利用者を減らさない努力が必要と思われます。
 欲を言うと後述する大阪方面からの特急列車等を運転するとそこそこの利用者がいるかもしれません。

上月~津山


(写真は美作江見駅。この区間の全列車がキハ120[左側の車両]で運転されています。)
【上月~津山の現況】
この区間は比較的利用者の少ない区間です。佐用・上月~津山間を結ぶ列車が9往復(うち上り2本 下り1本は快速)、美作江見~津山の区間列車が2往復(うち下り1本は快速)運転されています。
輸送密度は413(2019年度)、営業係数は887(2017~19年度平均)、収支は4億円の赤字(2017~19年度平均)でした。

【上月~津山の今後】
大阪~津山は1日20往復程度高速バスが運行されています。これは大阪~津山の需要があるということです。大阪~津山で特急列車を運行した場合、バスと所要時間は大差ありませんので運行してみて欲しいと思っています。

津山~中国勝山

(写真は中国勝山駅)
【津山~中国勝山の現況】
この区間は姫新線の中では比較的利用者の多い区間です。輸送密度は820(2019年度)、営業係数は610(2017~19年度平均)、収支は4.1億円の赤字(2017~19年度平均)でした。

【津山~中国勝山の今後】
この区間は比較的利用者が多いため、直ちに廃止されることはないと思います。この区間には勝山等観光地もあります。JRを使って観光して貰えるような取り組みが必要と考えます。

中国勝山~新見

(写真はこの区間で運用されているキハ120)
【中国勝山~新見の現況】
この区間は姫新線の中では一番利用客が少ない区間です。1日8往復運転されており、ほとんどの列車が津山駅まで乗り入れています。輸送密度は306(2019年度)、営業係数は1349(2017~19年度平均)。収支は3.5億円の赤字(2017~19年度平均)でした。徹底したコスト削減が行われているため、赤字額はそれ程多くはありません。

【中国勝山~新見の今後】
この区間は刑部駅等、学生が利用客の大半を占めていると思われます。どの線区にも言えることですが、学生の方だけでなく地域の方々がマイレール意識を向上させることが必要かと思います。 

余談 急行みささ・みまさか

かつて姫新線には大阪駅~津山駅~鳥取駅で「急行み
ささ」が、大阪駅~津山駅~新見駅で「急行みまさか」が運転されていました。この2列車は国鉄からJR西日本に移管して間も無い1989年に廃止されています。
 現在大阪~鳥取間の輸送は智頭線経由の「特急スーパーはくと」が担っていますが、大阪~津山間の輸送は高速バスがシェアを取っている状態です。適する車両がないなどの壁はありますが、大阪~津山・中国勝山間については特急列車を運行する等で対抗出来る可能性は高いと思います。是非検討して頂きたいですね。

今回は姫新線について紹介させて頂きました。次回は芸備線を紹介させて頂こうと思います。

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