④現職で食べて行くことへの希望と、補欠合格

  一年近く探してきて、一生続けたいと思っていた現職での就職が、いかに難しいかを思い知った。先ず、正社員としての働き口がない。募集形態の多くはアルバイトやパートなどの時給制で、有期雇用のものばかり。年度途中での採用枠はほぼなかったが、ようやく新年度の募集がかかり、仕事自体がないわけではないと知ったものの、〝人がひとり、ちゃんと生きて行く〟保障は望めない。絶望的であった。
 5年前に求職していた際、一度受験した近隣の自治体を調べてみると、丁度募集を締め切る間近であった。当時受験し、あえなく撃沈しているが、その時は未経験で何の売りも無かったので、仕方がないと諦めざるを得なかった。しかし今回は5年近い経験を積んでいる。やるだけやってみるかと応募を決めた。
 契約は1年で、以後は状況次第という不安定さはあるものの、同じ業種でありながら、他の何処よりも待遇が安定している。
 現在の職場での仕事に未練だけは充分あったため、一縷の希望は捨てなかった。しかし、任期満了に伴い、仕事を継続するにしても再受験を要し、尚且つ異動は確実。そのうえ次年度、更に時間と給料が削減される現実を目の当たりにすることとなった現在の自治体を再び受験する気力は、すっかり失われていた。
〝若干名〟の募集に対し、9人が応募。その誰もが業務経験者であった。〝グループディスカッション〟という、初めての試験項目に臨んだことで、他の受験者の力量を何となく図り知る。知り合いが一人いたこともあり、そこだけを見れば、受かるのは彼女か、もしくは経験豊かで弁の立つ、有能そうなもう一人かに思えた。
 後日、知り合いが合格し、4月から現職を続けられることを知った。人が良く、私の何倍もの業務経験があり、有能であることも間違いないので、合格を知った時は本当に嬉しかった。採用人数が一人である可能性も示唆した面接内容だったが、彼女は「複数名合格者がいたのではないか」と想像して私に連絡を寄越したようであった。残念ながら、私はその〝複数名〟の可能性には引っかからなかった。送られてきた合否通知には、【補欠合格】と記されてあり、年度内に空きが出た場合、今回の成績順で声を掛けるが、空きが生じなければ、採用されることはないというようなことが書かれてあった。合格通知を受け取った一人か複数名以外は、全員【補欠合格】なのではないかと思う。これにより、私が愛した適職の存続は潰えた。

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