男女の友情は成立しないおはなし

男女の友情は成立しないおはなし その1

わたしには、留学に行く前、とっても大事な異性の親友が2人いました。
2人とも、ずっと一緒にいたいと思える、この2人がここにいるなら、留学に行きたくないとさえ思えるほど大切でした。

そのうちの1人は、わたしにとって、友達以上の感情があったので、素直にそう伝えました。
結果としてはうまくいかなかったけど、そうなることも覚悟していたし、わたしよりもずっと大人な人だから、たくさん考えて、悩ませてしまったと思います。
もちろんわたしも悲しかったけど、この人を悩ませてしまったことのほうが辛いと思いました。
これからどうしたいのか、わたしに決めてほしいと言われました。それでもやっぱりこの人が大切なわたしは、友達でいよう、と言いました。
親友は、友達になりました。

もう1人は、わたしが留学に来てからも変わらず親友でいてくれました。物理的な距離はどうにもならないので、前ほど親しくいることは不可能でしたが、とっても大事な人であることは変わりませんでした。
そもそもこの人とわたしは、周りからみたら少し不思議な関係だったのかもしれません。
『あなた達2人をみたら、男女の友情は存在するのかもしれないと初めて思った』、そう言われたこともあったし、『2人は恋人同士じゃないの?』、そう言われたこともありました。
この人には恋人がいたので、恋人がいる人に恋愛的な感情を抱いてはいけないと決めているわ
たしは、もう1人のように、そのような感情を抱くことはありませんでした。
周りの人にいろいろなことを言われて、考えてみた夜もありました。
『この人に恋人がいなかったら、好きだったかもしれない』、そう思いましたが、恋人がいる以上は、そう思うことはありませんでした。



男女の友情は成立しないおはなし その2

わたしが留学に行く前、この人は手紙を書いて渡してくれました。
『一緒に過ごした間、君が楽しい時も、辛い時も、ずっと味方だったよ』、その言葉を見て、空港から寮へ向かうバスの中で泣き続けました。
2人ともお互いにお互いを周りよりも特別に感じていました。この頃の関係を、どうやったって言葉では表せないとわたしは思います。
わたしもこの人に手紙を書かなければ、と思っていましたが、わたしのあまりの計画性の無さで、散らかった部屋を夜通し片付けなければならなかったので、手紙を書いて渡すことができませんでした。
寮の自分の部屋に着いて、1番はじめにしなければならないと思ったことは、この人に手紙を書くことでした。この人は、3週間後に旅行に来ることが決まっていたので、それまでに書いて、会った時、こっそりカバンの中にでも入れておこうと思いました。
いざ手紙を書き始めると、伝えたいことがたくさんあったんだと実感しました。
下書きをしている間に、ポジティブなこと、ネガティブなこと、たくさん出てきましたが、去っていった側のわたしが、ネガティブで、未練が多いようなことを書いては悲しくさせるだけだと思い、なるべくポジティブなことだけ書くように集中しました。
いよいよこの人に会える日がやってきました。嬉しい気持ち半分、なぜか緊張する気持ち半分で会いに行きました。
会ってみると、3週間会わなかったことが嘘のように、昨日までも一緒にいたように、居心地の良さを感じました。
1泊2日、わたし達が日本で過ごした時間に比べたら、あまりにも短いですが、楽しい時を過ごして、わたしは帰ってきました。
手紙は、その人が吸うタバコの箱の中に、小さく折り畳んで入れておきました。
もしもごみだと間違われて捨てられてしまったら、その時はその時だと思っていました。
その人が日本に帰った夜、メッセージが届きました。『手紙嬉しかった』
ちゃんと見つけてくれたことに安心しました。
その次の夜でした。

『手紙をもらってから、ずっと言うかどうか迷っていたことがある』

『言わなかったら後悔すると思うから言うけど』

『君のことが好きだった』

こうメッセージが来ました。
メッセージを見て、わたしは泣いていました。
なぜ泣いているのかわからなかったけど、ただ、涙が出てくることだけが事実でした。

ここから先は、言葉で表すのがしんどいくらいのいろんな話があって、1人で悩む夜がありました。
やっとついた結論としては、わたしと彼が恋人同士になることはありませんでした。
彼の決断でそうなりました。
わたしはこの人があまりに勝手すぎる、と思ってしまいました。
彼がたくさんたくさん悩んで出した結果でも、わたしだってたくさんたくさん悩んで、吐きそうになるほど考えて過ごしました。

正直、こうなるような気がしていました。
わたしは彼に振り回されたような気がして、悔しくて、きっとたくさん彼を傷付けるようなことを言ってしまったと思います。
ずっとずっと、それがどんな関係であっても、この人とだけは切れない縁を持っていたいと思っていました。
今回のことを通して、わたしはこの人にとって、わたしが思うのと同じぐらいに大切には思われていなかったのかなと思ってしまいました。もちろんそう決めつけることはできませんが、彼が1人で言いたいことだけ言って、彼が1人で決断をして、わたしの気持ちはどこに行くのだろうか、その中にわたしを思い遣る気持ちが本当にあったのだろうかと信じられない気持ちになりました。
好きだとかどうとかは置いておいて、ずっとずっと、彼の大切な人でありたかったし、彼を大切な人だと思っていたかったです。

今だって、彼を大切な人だと思っていたい気持ちは間違いなく存在します。でも、そう思うにはわたしの頭も、心もぐちゃぐちゃです。
大学に入って、1番出会えて良かったと思える人でした。
こうなってしまうのだったら、彼になにも言わず、友達のフリをしていてほしかったです。

わたしがとってもワガママで、自己中心的な人間だと言うことはよくわかります。
わたしが傷付くなら、そう言ってほしくなかった、そんな風に考えるなんて、本当にひどいやつだと自分でも思います。
彼だって悩んで悩んで悩んでそう言ってくれたのに。

彼は、しっかりしていなかった自分を、君が嫌いになっても仕方ないと言いました。大切だと思った人を、そう簡単に嫌いになれません。

でも、わたしは親友をまた1人で失ったのかもしれない、そう思いました。
わたしは今も泣いています。


おわり


2年ぐらい前の留学中に書いた、見る人が見たら身バレするおはなし

#わたしたちのこと

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