歩行者

だあれもいない一本道を

ひとりまっすぐに歩く

いつもよりもまっすぐにのびた道

コツコツと中央にもうひとつの道を見立てる

しんと静まった町の壁は

いつぴすとるが響いてもおかしくない

道の真ん中をまっすぐに

しんめとりーを崩さぬように

道の真ん中をまっすぐに歩く

どこを見渡してもひとのものばかりで

それなのにどこにも人がいやしない

深海の底のじおらまに

宝石を隠す

ぽつんと落ちた世界の鱗に

醜い顔を映してみる

そうしてる内に月が傾いて

しんめとりーはあっさり壊れる

誰かが咳き込む音がして

ぼくの美学はぶち壊される

懐に鉛を忍ばせて

とぼとぼと歩く

殺人現場を後にして

肩をふるわしている

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