名前を変えようかしら

最初、漢字でやっていたのだけれど、キャッチーじゃないなと思って、タナカシュンタロウにした。でもこないだ、人に名乗る時なげーし覚えにくいなと思って、酔った勢いでタナタナタナタナにした。なんかわけわからんし、結構気に入ってるんだけど、どうだろう。すぐ戻すかもしんないけど。

酔いがさめて見ると、少し恥ずかしい。タナカカナタはどうだ。逆から読んでもタナカカナタだぞ、どうだ。一層、全部削って「タ」にしてしまおうか。僕は無名だ。だから何とでも名乗れる。

そもそもペンネームとか考えるのは得意じゃなくて、本名に甘んじていたけれど、自分の名前が好きなわけではない。たぶん自分の名前が大好き！って人の方が少ないのかもしれないけど。

眉村ちあきという名前は芸名らしい。そう言われてみれば眉村なんて苗字聞いたことがない。一見気をてらっていない名前で、苗字だけでもちゃんと検索に引っかかる、差別化された名前。こういうのをセンスと言うのだろう。

父親の名前に「俊」が入る。だから「俊太郎」。つまんない理由。それに父親の名前はもう一文字意味のある漢字が入って完成。だから「なんか意味うすくなってね？」って感じ。別にいいんだけど。逆に意味ありすぎる方が重くて、いやになるかもしれんし。でも父の名を受け継ぐなんて、一番自分に似合っていない気がする。

でも人には結構気に入られる。名前いいってよく言われる。客観的に見たらそうなのかしら。よくわからない。でもしゅんちゃんとかたなしゅんとかしゅんたろーとかたろちゃんとかたなーとか呼びやすいのはいいとこだろう。だから名前の要素を残しておきたいなと思った。

「かしら」という語尾には少しの違和感がある。ドラえもんを呼んでいるとよくのび太が「かしら」という語尾をつけるのだけれど、小学生の男の子がしゃべる言葉としてすごい違和感があってよく覚えている。大人になったら使うのかなと思ったけど、自然には使えていない。
のびのびと育ってほしいから、野比のび太。苗字から意味を繋げてしまうというのはかなりハイカラじゃないか。結構かっこいいと思う。でもきっとのび太はいやだったろうな。
そう言えばのび太のお父さんの名前は何だったろうと調べてみたら、のび助だった。なんだ俺と変わんないじゃないか。

～子と～太郎は結構減ってるだろうから、俊太郎というのはいまどき珍しい名前かもしれない。でも減るのも自然なことだと思う。だってあまりに性に縛られている名前だから。

自分の本を販売しているサイトのアドレスは
 https://tanakashuntaro.stores.jp/　だし
自分の詩を載せているtumblrのアドレスは
 https://tanakashuntaro.tumblr.com/　だ。
違和感を覚えつつも田中俊太郎という名前を積極的に使っている自分もいる。

自分の名前というのは上手く書けない。どんなにきれいに書いても何か違和感がある。人生で一番書いている字なのに。いや、一番書いている字で、一番見てきた字だからこそ、理想が高すぎるだけだろう。
自分の筆跡というのがよくわからない。人の筆跡も。これ誰の字？って言われても自分の字ですと自信をもって答えることはできない。だから上手かろうが下手かろうが、わからない。単に自分の名前に対する違和感をそこに見てとってるだけで、そこに上手いとか下手とかはないのかもしれない。
というか自分の名前なのに、これが自分の名前だと自信をもって筆を動かしていない気がする。印鑑を押すのと同じ感覚。

なんか文章で書くと、すごい気にしてる感じになるけど、そうでもない。気にしてらんないし。かと言って（笑）とか付けたくない。ここで笑えって言ってるみたいだし、それじゃ人は笑わないし、笑顔で言ってますよって意味なら、一文字にこめすぎな気がする（笑）。

自分の名前が生きていると感じるのは人から呼ばれる時だ。人に名前を呼ばれるというのは、色々な声で色々なトーンで色々な表情で名前を呼ばれるということだ。のび太もずっと生きてきて、
母に呼ばれる「のび太」
ジャイアンに言われる「おいのび太！」
ドラえもんに言われる「のび太くん」
しずかちゃんに言われる「のび太さん」
色々な声で色々なトーンで色々な表情でそれを聞いてきて、のび太という名前にいろんな色が付いてそれはカラフルに輝いて、のび太は自分の名前を好きになっていったのかもしれない。そして自分の名前を息子に受け継ぐ。息子の名前はノビスケ。

人から呼ばれることではじめて愛着がわく。「田中」と呼ばれると距離を感じていた。いや純粋に距離があった。たなかとか田中くんとか田中さんと呼ばれる相手とは距離があったように思う。だから近い距離で「田中」とはじめて呼ばれたとき結構驚いた。「田中」と呼ばれているのに距離を感じなかった。田中ということばにはじめて色が付いた気がした。