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プロ野球戦力分析(中日編)


 6月19日に開幕が迫った日本プロ野球。今日は昨年度セ・リーグ5位、中日ドラゴンズ(中日)について分析する。


•投手陣の入れ替わり


 球界のレジェンド、松坂大輔がコーチ就任の打診を断り退団。プロ入りの時の古巣、西武に移籍した。また、左のセットアッパーとして活躍した外国人、J.ロドリゲスがメジャー挑戦の為退団し、テキサス•レンジャーズと契約している。その他に戦力外などで退団した投手はいない。

 新加入投手では、左のセットアッパー候補としてL.ゴンザレス(米 /オリオールズ)を獲得。育成でも一人外国人投手を獲得している。
 ドラフトでは、2位で左の橋本侑樹(大阪商業大)、3位で右の岡野祐一郎(東芝)、5位で右の岡林勇希(菰野高)、6位で右の竹内龍臣(札幌創成高)を指名し、獲得している。育成でも一人獲得している。


•もう一皮剥けたい投手陣


 チーム防御率はリーグ3位の3.72、救援防御率に関してはリーグ2位の3.32と良い。ただ、絶対的なクローザーが不在で、それが5位という順位に現れている。

 昨季チーム最多セーブは14Sを挙げた鈴木博志(23)。ただ、25試合の登板に終わり、防御率は4.32。終盤不在だっただけに今季はフル回転出来るか。また、53試合で3勝13S7Hの左腕岡田俊哉(29)もいる。2敗してはいるが奮闘した。防御率が3.58と良くないので、ピンチでもう少し粘りたい。43試合で1勝(4敗)8S14H、防御率2.66の外国人右腕R.マルティネス(24)も候補。この中から絶対的守護神は誕生するのか。
 その他の救援陣では、32試合で2敗14H、防御率2.48の右腕藤嶋健人(22)、52試合で2勝18H、防御率2.05の左腕福敬登(28)、44試合で3勝(4敗)1S3H、防御率3.11の右腕祖父江大輔(33)、29試合で2勝(2敗)4H、防御率3.38の育成出身右腕三ツ間卓也(28)、復調を期す田島慎二(31)、谷元圭介(35)、又吉克樹(30)の各右腕がいる。

 先発陣では、エース左腕大野雄大(32)が25試合で9勝(8敗)ながら防御率2.58で最優秀防御率。177.2回を投げ156奪三振と活躍しているだけに、今季は貯金を作りたい。26試合で11勝(7敗)、防御率3.53の右腕柳裕也(26)は昨季勝ち頭なだけに、右のエースになれるか。170.2回を投げ146奪三振と活躍している為継続したい。外国人左腕のE.ロメロ(29)は21試合に登板しながら8勝10敗、防御率4.26。116.1回しか投げられず、貯金も作れなかった。今季2年目になるがどうなるか。
 4番手以降は小笠原慎之介(23)、笠原祥太郎(25)の両左腕、共に高卒3年目の清水達也(21)、山本拓実(20)の両右腕、即戦力として期待されるオールドルーキー右腕、岡野祐一郎(26)、大ベテラン右腕山井大介(42)といった候補がいる。


•野手陣の入れ替わり


 琉球に移籍した杉山翔太、亀澤恭平ら5選手が退団。育成契約で獲得し、支配下登録になった外国人外野手M.シエラ(メキシコ /オアハカ)以外補強をしていない。補強出来る資金が無いのが苦しいところ。

 ドラフトでは1位で内野手の石川昂弥(東邦高)を抽選の末獲得。将来の右の主砲として期待される。また、4位指名の郡司裕也(慶應義塾大)は、正捕手争いを勝ち抜ける実力ある選手なだけに、開幕スタメンもあり得る。


•長打力不足は深刻


 チーム打率はリーグトップの.263。ただ、90本塁打はリーグワースト、563得点はリーグ5位とチグハグな攻撃が目立った。また、代打打率が.195と目も当てられない。そして、63盗塁はリーグ4位だが108犠打はリーグ2位。
 それでも、43失策はリーグトップと鉄壁の守備を誇るだけに、攻撃に活かしたい。

 個人別に見ていくと、右の主砲D.ビシエド(31)は全試合出場で18本塁打93打点、打率.315。168安打を放っている。43二塁打というところも光る。得点圏打率.314は悪くはないが、100打点を目指す以上もう少し打って欲しいところ。全試合出場のリードオフマン大島洋平(35)は174安打で最多安打。30盗塁、打率.312、出塁率.376と活躍した。得点圏打率.347も高水準で、よく打っている。
 その他、正三塁手の座を掴んだ高橋周平(26)、正二塁手の座を掴んだ阿部寿樹(31)、選手会長で正遊撃手の京田陽太(26)、18本塁打66打点の福田永将(32)、故障に泣いた正右翼手の平田良介(32)、内野のユーティリティで打率.212ながら昨季自己最多の12本塁打を放った堂上直倫(32)といった野手陣がいる。守備は盤石だけに、打線のつながりが鍵だ。
 捕手の昨季チーム最多出場は加藤匠馬(28)。92試合でリーグ4位の盗塁阻止率.286。ただ、打率.228、得点圏打率.193と打撃面には大きく課題を残している。FA移籍2年目の大野奨太(33)も活躍出来ず、大卒ルーキーの郡司裕也(23)にもチャンスがある。正捕手を固定し、守りからリズムを作りたい。

•今季期待の若手選手

投手:小笠原慎之介(23)

 かつての甲子園優勝左腕投手も、高卒5年目を迎えた。昨季は7試合で3勝に終わり、先発ローテに定着出来ないシーズンが続いている。通算でも15勝21敗、防御率4.03と目立った成績を残せていないだけに、同年代の大卒が入った今季、一期の飛躍なるか。

野手:郡司裕也(23)

 若手の野手が少ないだけに悩んだが、慶大で神宮大会優勝、仙台育英高時代には夏の甲子園準優勝経験がある、「優勝請負人」捕手に期待したいところ。監督も務めた谷繁元信の引退後、チームは正捕手を固定出来ず低迷しているだけに、刺激を与える活躍を見せたい。


•優勝への条件


 クローザーの固定、正捕手の固定、得点力の向上など、課題は多い。今季クライマックスシリーズが開催されるか微妙だが、まずはAクラスを狙う闘いになってくるだろう。
 そして、先発陣で若手がどれだけ勝てるか。小笠原、笠原、清水、山本といった投手に活躍が求められる。


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