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プロ野球戦力分析(楽天編)


 6月19日に開幕が迫った日本プロ野球。今日は昨年度パ・リーグ3位、東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)について分析する。


•投手陣の入れ替わり


 先発3番手だった美馬学がFA宣言を行使しロッテに移籍。また、FAで獲得した鈴木大地内野手の人的補償で小野郁がロッテに移籍。そして、F.ハーマンもロッテに移籍している。昨年プロ初勝利の今野龍太は戦力外となりヤクルトに移籍。その他、戸村健次、西宮悠介が引退、育成の4投手が退団している。

 新加入の投手では、前パドレスで元西武のアンダーハンド右腕牧田和久が加入。美馬学のFAの人的補償で昨年中継ぎで活躍した酒居知史を獲得。また、ロッテから金銭トレードで、通算133勝の涌井秀章を獲得。新外国人は中継ぎ候補としてJ.T.シャギワ(米 /ドジャース)を獲得している。かなり入れ替わりが激しくなっている。
 ドラフトでは、3位で右の津留崎大成(慶應義塾大)、5位で右の福森耀真(九州産業大)、6位で右の瀧中暸太(Honda鈴鹿)を指名し、獲得。育成でも1人指名している。


•厚みを増した投手陣、あとは若手次第


 チーム防御率はリーグ2位の3.74。先発、中継ぎ共にそこそこであるが、若手の伸びが乏しく、層が薄い。

 先発は、規定投球回に達したのがロッテに移籍した美馬学のみ。右腕エース則本昂大(30)は故障により昨年12試合の先発に終わり5勝(5敗)。通算125勝のベテラン右腕岸孝之(36)も15試合で3勝(5敗)。チーム最多勝は左腕の辛島航(30)の9勝(6敗)だが、中継ぎもこなしており規定投球回に達せず。28試合8勝(7敗)の右腕石橋良太(29)は中継ぎから先発に回って127.1回を投げており、今季は先発に専念出来るか。そこに実績ある右腕涌井秀章(34)、昨年3勝(3敗)の左腕弓削隼人(26)、飛躍を目指す右腕藤平尚真(22)らが加わっていく形になる。あとは若手がどれだけ活躍するか。

 救援陣は、クローザー左腕松井裕樹(25)が8敗しながらも68試合、2勝38S12H、防御率1.74。69.2回を投げ107奪三振と圧巻。同点時に失点し負け投手となる場面が多かった。今季は先発転向を目指しているが、クローザーのままの方が良いだろう。セットアッパー右腕森原康平(29)は64試合、4勝(2敗)29H、防御率1.97。左のサイドハンド高梨雄平(28)は48試合2勝(1敗)14H、防御率2.30。育成出身の台湾人右腕宋家豪(ソン•チャーホウ)(28)は48試合3勝(2敗)24H、防御率2.18。ベテラン右腕の青山浩二(37)は62試合で2勝(4敗)16H、防御率2.70。54試合で4勝(3敗)28H、防御率1.94の外国人右腕A.ブセニッツ(30)もいる。今季もこのあたりの投手が中心となり、ベテランアンダーハンド右腕牧田和久(36)、人的補償で移籍してきた昨季ロッテで54試合登板の右腕酒居知史(27)、新外国人右腕のJ.T.シャギワ(30)が加わる形だ。救援陣の質は球界屈指なだけに、やはり若手の力で底上げを望みたいところである。


•野手陣の入れ替わり


 今江年晶が引退、嶋基宏が戦力外からヤクルトに移籍。西巻賢二が戦力外からロッテに移籍。卓丸が戦力外から巨人の育成選手として移籍。その他、育成含む3選手が退団。
 新加入野手は、ロッテからFAで獲得した鈴木大地、オリックスから契約切れになっていたS.ロメロといった実績ある選手を獲得。ドラフトでは1位で内野手の小深田大翔(大阪ガス)、2位で内野手の黒川史陽(智弁和歌山高)、4位で外野手の武藤敦貴(都城東高)、7位で捕手の水上圭(明石商高)を指名し、獲得。育成でも3選手を指名している。


•破壊力増した打線


 チーム打率はリーグ2位タイの.251、141本塁打はリーグ4位、614得点はリーグ3位とバランスが良い。ただ、パ・リーグは全体的に打高投低で、打ち勝つ必要がある。75盗塁、92犠打はリーグ4位、62失策はリーグ3位。

 個人別に見ていくと、FA移籍1年目から全試合出場で33本塁打92打点、打率.263の正二塁手浅村栄斗(30)、141試合で161安打、打率.304の正一塁手銀次(32)、141試合で160安打、13本塁打55打点、打率.282の正遊撃手茂木栄五郎(26)、指名打者中心に128試合33本塁打95打点、打率.261の成績を残したJ.ブラッシュ(31)、133試合で10本塁打57打点、打率.287の外野手島内宏明(30)、117試合で19本塁打67打点、打率.243のZ.ウィーラー(33)といった選手がいて、そこに昨季ロッテで140試合15本塁打68打点、打率.288の成績を残したユーティリティの鈴木大地(31)、オリックスの3年間で69本塁打のS.ロメロ(32)が加わる。厚みを増している。

 ただ、正捕手は不在で、堀内謙伍(23)、足立祐一(31)、太田光(24)らの争いになる。トレードでの補強もあり得るだろう。


•今季期待の若手選手

投手:藤平尚真(22)

 横浜高出身の高卒4年目ドラ1。昨年は二軍で最高勝率も、一軍では3試合の登板に終わり、先発ローテに定着出来ず、チームの右の先発が手薄な中で戦力になれなかった。
 今季は最低でも一軍定着といきたいところ。

野手:辰巳涼介(24)

 昨年124試合で13盗塁だが、打率.229に終わった今季大卒2年目の外野手。広い守備範囲と強肩、走力は魅力で、課題は確実性。左打ちの特性を活かし、まずは内野安打を増やし、出塁率を上げたい。そうすれば盗塁も自然と増えてくるだろう。


•優勝への条件


 元々選手層が薄く、特に先発は尻すぼみな選手が多い。正捕手も現在不在で、争っている状態である。
 それでも、打線の厚みは増し、救援陣の強化にも成功した。選手のやりくり次第で、昨年の2強を脅かすことが出来るだろう。

 

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