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龍門二十品

龍門造像記は、河南省洛陽の龍門山の洞の内壁に仏像を刻み、かたわらに刻された銘文です。北魏・隋・唐・五代・宋の時代の3689点の造像記を指しますが、本展では龍門造像記の代表的な初期の龍門二十品に絞って臨書したものを出陳します。二十品の選定は『書蹟名品叢刊』(二玄社)に従いました。

総じて稜角かつ扁平な結構と、茂密雄強の筆勢により、いわゆる龍門様式とよばれる書風を形成していますが、個々には、剛健なもの、暢達したもの、あるいは温健なものなど、それぞれの趣を備えています。中国では清中期まで「夷狄の書」として顧みられませんでしたが、阮元の『北碑南帖論』や包世臣の『芸舟双揖』の啓蒙と、趙之謙が自己の作風の礎にしたことなどから、脚光を浴びることになりました。教室十周年のお祝いに、全臨して二十品を通観する機会を得ました。

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