★今日の問題★

甲株式会社は、『不動産の保存、その他財産を保存してこれが運用利殖を計ること』を目的とする不動産賃貸業者であるが、同社の取締役Aが、同社の重要な収益物件である乙物件をBに売却してしまった。
この場合、同社の株主Cは、Aの行為が同社の目的の範囲外の行為であるとして、AB間の売買契約の無効を主張できる。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「うーん。これは何の問題なんだ? 」
胡桃「つまり、甲株式会社は、『不動産の保存、その他財産を保存してこれが運用利殖を計ること』を目的とする不動産賃貸業者なわけね。その会社が、重要な収益物件である乙物件を売っちゃったら、収益が減るか、なくなるわけでしょ」
建太郎「そりゃそうだな」
胡桃「だから、甲株式会社が、重要な収益物件を売ることは、甲株式会社の会社の目的の範囲外の行為だから、無効だと、株主が主張できるかと言う話ね」
建太郎「うーん。それは認めてもいいんじゃないの」
胡桃「そう思うかしら? 残念ながら間違いよ」
建太郎「えっ。そうなの? 」
胡桃「営利法人の目的の範囲は、次の判例の通り、広く解されているということなのよ」

一 会社の行為がその目的遂行に必要であるかどうかは、定款記載の目的自体から観察して、客観的に抽象的に必要であり得るかどうかの基準に従つて決すべきである。
二 会社がその所有家屋を売却する行為は、「不動産の保存、その他財産を保存してこれが運用利殖を計ること」という目的遂行に必要であり得る。
三 会社の目的自体に包含されない行為であつても、目的遂行に必要な行為は、目的の範囲内に属する。(最判昭和27年2月15日)

建太郎「すると、設問では、Aの行為は甲株式会社の目的の範囲内の行為となるわけか」
胡桃「そうね。その悔過どうなるか分かるわね」
建太郎「株主Cは、Aの行為が同社の目的の範囲外の行為であるとして、AB間の売買契約の無効を主張できない。と」
胡桃「そうよ」

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

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