★今日の問題★

AはBに対して甲建物を賃貸しているが、Bはさらに、甲建物の一部を適法にCに転貸している。
Aは、甲建物を自ら使用するために、Bに対して明渡しを求めたところ、一定期間経過後に、Bが退去することで合意し、Cも了承した。
この場合、Bの退去と共に、BC間の転貸借関係も当然に消滅し、CはAからの明渡請求を拒むことができない。


胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと……。そのとおりでいいんじゃないの? 何が問題なんだ? 」
胡桃「この事例を見る前に知っておきたいことは、原則として、賃貸人と賃借人との合意解除は、転借人に対抗できない。ということよ。次の条文ね」

民法
(転貸の効果)抜粋
第六百十三条
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

建太郎「おう。すると、設問の事例では、Cは、AとBの間で賃貸借契約が解除されたとしても、無視していいということか」
胡桃「そうよ。Cにはその権利があるわけね。ただ、設問の事例では、AとBの合意解除について、Cも承諾しているわけね。そこで、判例は次のように考えているのよ」

判例は、賃貸借の合意解約により転借権が当然消滅すると解すべき場合があるとしている。設問のような場合であるが、次のように述べている。

家屋の賃貸人が、家屋の一部の転貸借につき近く予想される賃借人の家屋退去に至るまでの間を限つて承諾を与えたものであり、転借人もそのことを知つていたときは、転借権は賃借人の家屋退去と同時に消滅するものと解すべきである。(最判昭和31年4月5日)

建太郎「つまり、Cは、民法第六百十三条3項を理由に明渡しを拒むことはできないと」
胡桃「そういうことね」


※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

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