★今日の問題★

弁護士でない者が、債権の取立、債権の取立の目的を達成するため提起する訴訟につき弁護士を選任し、仮差押並びに仮処分申請の手続をすること、これらの事件につき和解等による解決の一切について、委任を受け、債権の取立に成功すれば取立金額から弁護士に支払う訴訟費用を控除した残額の半額を報酬として受取るという趣旨の契約を締結することができる。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。これは、弁護士法の問題か?」
胡桃「弁護士法の次の規定の問題ね」

弁護士法
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

胡桃「弁護士法のこの規定に反するわけなんだけど、その結果、設問の契約の効力はどうなるのかと言う問題ね」
建太郎「そりゃ。無効ということでいいんじゃないかな」
胡桃「なんで無効になるのかしら? その根拠は? 」
建太郎「あっ。公序良俗に反するということか」

民法
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

胡桃「そうよ。判例も次のように述べているわ」

判例は、「弁護士でない者が、債権の取立、債権の取立の目的を達成するため提起する訴訟につき弁護士を選任し、仮差押並びに仮処分申請の手続をなすの件及びこれらの事件につき和解等による解決の一切を委任され、債権の取立に成功すれば取立金額から訴訟費用を控除した残額の半額を報酬として受取るという趣旨の契約をなすことは弁護士法第七十二条本文前段同第七十七条に抵触するが故に民法第九十条に照しその効力を生じない。」としている。(最判昭和38年6月13日)

建太郎「うん。つまり、設問は間違いなんだな」

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

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