★今日の問題★

Aは、自ら所有する甲土地をBに対し、Bの新店舗が完成するまでの間、仮設店舗用地として利用するとの約束で、使用貸借として貸し出した。Bはこれに基づき、甲土地上に乙仮設店舗を建てた。
ところが、Bは新店舗が完成し、新店舗での営業を開始した後も、乙仮設店舗で営業を続けている。
そこで、Aは、Bに無断で乙仮設店舗に板囲を設置して封鎖し、Bが利用できないようにした。
この場合でも、Bは、Aによる妨害を除去するために自ら、乙仮設店舗の封鎖を解くことはできない。


胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「うーん。穏やかな話じゃないよな。これは、Bがありがとうございましたって言って、甲土地をAに返せばいいだけの話だろ」
胡桃「そうね。でも、乙仮設店舗の営業がもうかっていて、Bは撤去する気にならなかったんでしょうね」
建太郎「それで、Aが乙仮設店舗を板で囲っちゃったわけか」
胡桃「そうよ。Bも、その板をどかせと言っているわけね。どかさないなら、自分で板を取り除くぞと」
建太郎「うーん。Bには、そんなこと言う権利あるのかな。約束通り返せばいいだけだろ」
胡桃「そうね。判例も次のように述べているわ」

使用貸借の終了した敷地上に建築された仮店舗の周囲に、敷地所有者(終了前の敷地使用貸主)が仮店舗所有者(終了前の敷地使用借主)の承諾を得ないで、板囲を設置した場合であつても、仮店舗所有者が板囲を実力をもつて撤去することは、同人が旧店舗に復帰してすでに飲食営業を再開している等の事実関係のもとにおいては、私力行使の許される限界をこえるものと解するのが相当である。(最判昭和40年12月7日)

建太郎「あっ。なるほど、Bが、自ら、乙仮設店舗の封鎖を解くことは、自力救済に当たるということか」
胡桃「そうよ」

※問題は、ノベル時代社の判例六法 丸暗記100問ドリルシリーズを利用しています。下記サイトから入手できます。

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