宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-16

「そうね。続けて、随意条件。意味は分かるかしら? 」
 
民法
(随意条件)
第百三十四条 停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
 
「ああ。分かるよ。債務者っていうのは、条件成就によって不利益を受ける者。要するに、伯父さんが譲渡する気になったら、贈与するという契約は、無効だってことだろ」
「そうね。当事者が法的拘束力の発生を意図していない――簡単に言えば、契約として成り立っていないからよね。じゃあ、解除条件の場合はどうなるかしら?」
「んっ……解除条件? 」
「つまり、伯父さんが解約したいと思ったら、贈与契約を解除できるという契約は? 」
「そんな契約って有効なのか? 」
 建太郎が考え込むと胡桃はうなずいた。
「もちろん有効よ」
「それじゃあ。俺が圧倒的に不利じゃん。いつ解除されるか分からなくて、ビクビクしなきゃならないじゃん」
「契約っていうのは平等な条件で結ぶとは限らないのよ。だからこそ、契約を結ぶ時は、自分に不利な条件を付けられないように気を付けないといけないのよ」
「ちょっと待てよ。随意条件っていうのは、『停止条件』で『債務者』の意思のみに係るときだけ無効なのか? 」
「そうよ」
「っていうことは債権者の意思にかかわる時。つまり、俺が欲しい時にもらうという契約とか、いらなくなったら解除するという契約は有効だってことか? 」
「もちろんよ。そういう条件なら建太郎が有利な立場で契約を結べるわね」
「条件一つだけでも、奥深いなあ。宅建士試験でここまで問われるのか? 」
「問われる問われないに関わりなく、知っておいて損はないわよ。民法の条文は第一条から第千五十条まで、一通り目を通しておくべきよ。宅建士試験は、条文レベルの出題なんだから、楽なものよ。司法書士試験クラスになると、条文+判例+学説の知識も必要になるのよ」
「司法書士とか。俺は受ける気ないから」
 建太郎は、ぶつくさ言いながらも宅建士試験の勉強を続けた。まさか、宅本健一・春子夫妻が事故を装って殺害されたなどと思いもしなかったのだ。
 

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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