宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-28

「その場合は、建太郎がその人に、承認するのか放棄するのか回答してくれって催促すればいいのよ。内容証明郵便を用いるのが確実ね」
「内容証明郵便を送っても反応がなかったらどうするんだ? 」
「その点も民法に定めがあるわ。民法第九百八十七条よ。『受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。』」
「『遺贈を承認したものとみなす』だって……。ってことは、問い合わせをして、回答がなかったら、伯父さんの遺産が持っていかれちゃうってことだよな。相手が遺言書の存在を知らないなら、黙っていた方がいいじゃん」
「ホントだわ。だからこそ、遺言書は、相続人に渡すのではなくて、中立な立場に立って、遺産相続の手続きをしてくれる第三者に託すべきなのよね」
「伯父さんは、何か遺言を書き残しているのかな? 誰かに遺産を遺贈するって書いているかな? 」
「どうかしらね。顧問弁護士に問い合わせないといけないけど、春子さんのお腹に子供がいたわけだし、きっと、春子さんとその子に遺産の大半を相続させるつもりでいただろうから、誰かに遺贈することは考えていないんじゃないかしら」
「でも、俺を養子にしてくれるとか、遺産の一部を贈与してくれるという話だったんだぜ」
「遺言書を残していなければ、その話は立ち消えよ」
「うーん……」
 
民法
(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
 
(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条 遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
 
(受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄)
第九百八十八条 受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
 
(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百八十九条 遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。
 
(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
 
「話が途中で反れちゃったわね。特別縁故者に対する相続財産の分与の話まで行っていたんだわね」
「そうだったね。特別縁故者に対する相続財産の分与が終わっても、まだ遺産が残っていたら、その時、初めて、国庫へ帰属することになる。ということでいいのかな? 」
「そのとおりよ。相続人がいなければ、直ちに国庫へ帰属するということにはならない。ということね」
「流れはよく分かったよ。とりあえず、俺が今やるべきことは? 」
「宅本健一さんの遺産を相続するための手続きを迅速に進めること。それから、葬儀には、必ず参加して、その席で、自分が唯一の相続人だということをアピールすることね」
 
民法
(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条 特別縁故者に対する相続財産の分与の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。

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