成年後見人はどのような権限を有しているか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「これは、条文の問題かな」
胡桃「そうよ。条文をしっかり覚えていれば、簡単に解けるわね」
建太郎「まず、この条文から、取消権があることが分かるな」

民法
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

胡桃「そうね。取消権があるということは、もう一つセットになっている権利があるわね」
建太郎「追認権だっけ」

民法
(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。

(取消権者)抜粋
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

胡桃「そうね。それから他には? 」
建太郎「ええっと。代理権かな」
胡桃「そうよ。条文はずっと後に出てくるけど次の規定ね」

(財産の管理及び代表)抜粋
第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

建太郎「ええっと、被後見人を代表するとなってるけど」
胡桃「そうね。この代表は代理と同じ意味と解してよいとされているわ。つまり、被後見人を代理する。と読んでいいのよ」
建太郎「そうなんだな」
胡桃「他には? 」
建太郎「ええっと、同意権? 」
胡桃「残念ながら、同意権は、成年後見人の権限に含まれていないわ。何でか分かるかしら? 」
建太郎「なんでだ……」
胡桃「民法第九条の条文をよく読んでよね。未成年者の次の条文との違いを考えて」

民法
(未成年者の法律行為)抜粋
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

建太郎「あっ。成年被後見人が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。とは書かれていないんだな」
胡桃「そうよ。ということは、成年被後見人が法律行為をすることはできるのかしら? 」
建太郎「そもそも、成年被後見人が法律行為をすることはできないと。だから、成年後見人の同意を得るということは考えられないと」
胡桃「そうね。だから、成年後見人の権限に同意権は含まれていないわけね」
建太郎「なるほどな」
胡桃「そういうわけで、成年後見人は、成年被後見人の行為に関する代理権、追認権、取消権を有している。一方、同意権は有していない。ということよ」
建太郎「うん。OK」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

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