★今日の問題★

 多数説によると、天皇が行い得ることは、憲法で定める国事行為と純粋な私的行為のみで、そのほかの行為を行うことはできないとされている。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「ええっと。これはどう考えたらいいんだ? 」
胡桃「まず、国事行為って何か分かるかしら? 」
建太郎「憲法に列記されているんだっけ」

憲法
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

胡桃「そうね。そして、純粋な私的行為というのは、天皇の個人としての行為ということね。じゃあ、それ以外のことはできないのかということよ」
建太郎「できないと考えるのは、おかしいのかな」
胡桃「特に問題となるのが、例えば、天皇が、式典などで、おことばを述べられる行為ね」
建太郎「おう。式典などで、おことばを述べられる行為だな。これは、憲法第七条十号の儀式を行ふこと。に含まれるんじゃないの」
胡桃「この儀式を行ふことというのは、天皇が主催して行う儀式のことを意味しているのよ。例えば、天皇がオリンピックで開会宣言を行う。オリンピックは天皇が主催しているわけではないから、儀式を行ふことの一環として、開会宣言を行ったことにはならないのよ」
建太郎「うーん。すると、国事行為と純粋な私的行為以外の行為も行えると考えないと、天皇の行為を説明できないということか」
胡桃「そうね。答えをいうと次のようになるのよ」

 憲法で定める国事行為と私的行為の他に、その中間に位置する、天皇が象徴であることによる一定の「公的行為」が認められると解するのが多数説である。

建太郎「おう。公的行為だな。これは、憲法には規定されていないけど、認められると」
胡桃「そうよ。その代表例が、式典などで、おことばを述べられる行為だということね」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

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