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スケッチブックとスケブ文化と私
引越しの際に掘り出された、全ページ白紙のスケッチブック。
表紙の裏には、ボールペンで書かれたハンドルネームとTwitterのアカウントID……
あと一歩の勇気が出なかった故に生まれてしまった、真っ白なスケッチブックにまつわるお話です。
レッツゴー同人誌即売会
時を遡ること7年ほど前……
1人のオタクが新たなステージにステップアップしようとしていました。
Webの作品を見まくる→ネット通販で同人誌を購入するという流れを経て、ついに同人誌即売会に一般参加することにしたのでした。
住居から目的の会場までは2時間ほどあればたどり着けるので、それまで縁遠かった即売会イベントというものがグッと身近になったことも後押ししました。
参加を決めてから、まず調べたのは必要なものは何か、そこでは何ができるのかということです。
リュックは危険なので混雑時にはNGなこと、
基本的に100円玉はあればあるだけ良いこと、
入場にはカタログが必要なこと(これはイベントによります)、
先人の知恵を借り、着々と準備をしました。
さらに情報を集めていると、即売会には「スケブ」という文化があることを知りました。
スケブとは?
ざっくり書くとこんな感じ↓
サークル参加の方にスケッチブック等の用紙を渡して、イラストを描いてもらう文化。
張り紙で「スケブOKです」などの表示をしてくださっている場合もある。
もちろん善意のものなので、みんながみんなやっているわけではない。
マナーはちゃんと守ろう。
まさに現地行きならではだなー!と思いまして、準備物に件のスケッチブックを忍ばせたのでした。
いざ戦場へ!しかしいっぱいいっぱいに
気合を入れまくった結果、早朝の電車に揺られて池袋へ。
列形成のタイミングで並びました。
開場まで4時間近く待ちました。
今思うと完全に早すぎなのですが、初心者は加減がわからないものです。
スマホと紙とペンがあればかなり時間を潰せるので、待ち時間の苦労はあまりなかったです。
そうこうしているうちに開場時間に!
手には小銭がたんまり入ったポーチと入場券となるカタログを装備。
人生初の一般参加の始まりです!
会場の中は人人人の大奔流!
開場してすぐはエリア間移動に制限があったりして、流れゆくままに目的の島を目指しました。
「めっっちゃ本ある!!!!」
というのがシンプルな感想でした。
しかも自分が大好きな作品の二次創作漫画が島の中に列を成しているわけで、テンションは爆上がりです。
「新刊一部お願いします」
この言葉を何回繰り返したかわかりません。
この言葉しか言うことができません。
初の一般参加は予算全てがすっからかんになり、至高の御本たちを得ることができました。
タイミングを図りかね、スケブは頼めませんでした。
鮮烈な初参戦からのその後
イベントが開催されるたびに一般参加するようになりました。
そこでしか手に入らない宝たち……
事前に調べていたものの他に見つかる素敵な掘り出し物たち……
魅力がいっぱいの即売会。あっという間に虜です。
参加のたびに、購入物をしまうトートの中にはスケッチブックが忍んでいました。
日の目を見ることもなく。
複数回お会いして若干顔見知りになった方もいらっしゃいましたが、やっぱりスケブは頼めませんでした。
一般参加が楽しすぎた結果、自分で漫画を描いてサークル参加までするようになりましたが、それでもスケブは頼めませんでした。
何かが記されるのをずっと待っている、白紙のスケッチブック……
情勢もあり、丸3年ほど即売会に行けていません。
引越し荷物をしまう際に、このスケッチブックを見つけました。
ワクワクとドキドキの残り香だけが漂うまっさらな紙です。
次に即売会に行く時も、きっとスケッチブックは持っていくことでしょう。
「新刊一部お願いします」
の後に
「スケブ、お願いできますか?」
を言える日は来るのでしょうか。
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