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「ブレーブス大谷」がほぼ起き得ないと言われる理由

今回は最近話題の「ブレーブス大谷獲得説」。
特に日本では加熱している話題で、多くのファンに希望される移籍先、理想的な移籍先とされ、日本メディアにも紹介されるまでになったようです。
しかし、一方で現地の有識者は多くが「その可能性はほぼ無い」という見方で、日本でも懐疑的な見方をするファンも多いです。

今回は何故有識者やMLBファンから「ほぼ起きないだろう」と否定されるのか、その理由を解説していきたいと思います。

①高額・長期の契約と球団の方針

最大の理由はやはりこれでしょう。
大谷はMLBの歴史に間違いなく名を残す「スペシャルな選手」であり、当然ながらその価値は莫大なものです。そしてそれ故に、契約も非常に大きなものとなる事が予想されます。
大谷は10年前後の契約で総額は4〜5億ドルにもなるという予想が大半です。
これは「超」がつくほど高額で、来季30歳となる大谷に10年前後の契約は非常に長期のものとなります。
一方でブレーブスは先発投手の補強は短期契約で済むベテランを、野手は若手の囲い込みと脇を固める安価な選手を、というこの予想される契約とは正反対のスタイルでチームを構築しています。
また、ブレーブスは36歳以上にまで渡る長期契約を徹底して忌避する傾向にあり、囲い込み契約で長期契約した選手は7人もいるにも関わらず、最長の選手でも35歳のシーズンで契約が切れるように設定されています。
また、2021年オフ、「アトランタの英雄」だったフリーマンとの再契約が叶わなかったのも、フリーマンの36歳以後のシーズンを複数年保有することを避けたために5年契約までしか提示しなかったからだと言われています。
そんなブレーブスが先に書いたような契約に手を出すとは思えません。

では大谷がそこに譲歩した場合はどうでしょう。
大谷は今後数年間を自身のキャリアのピークと考えており、(例えば)3〜5年ほどの短期的な契約での契約を考えているという情報もあります。
しかし、これはこれで問題が発生します。本来10年契約で4〜5億ドルになると言われている選手に、短期契約をするとなると、単年の年俸は更に爆発的に上がる事が予想されます。
既に贅沢税ライン前後となっているブレーブスの総年俸に、そんな上乗せをするのは難しいものがあります。
来季オフで30〜50Mほど資金が浮くにしても、来季の他の補強や、それ以降の補強を考えると、かなり身動きを縛られる状態となります。
アンソポロスGMは自身のコメントで①(贅沢税ラインを超えた2023年シーズンより)2024年シーズンの年俸は高くなるであろう事②必要な補強なら資金投入は躊躇しない事を明言しているとはいえ、このレベルの出費を選手1人にかけるのは、他への影響を踏まえるとかなり厳しい選択肢となります。
となると、こちらも現実的ではないと言わざるを得なくなってしまうのです。

②今季の補強ポイントと投手大谷のリスク

今度はこちらの観点から行きたいと思います。
この2つの部分は繋がりもあるので、1つのチャプターにまとめてみました。
まず、ブレーブスの補強ポイントについてです。
今季オフ、ブレーブスは「複数年保有可能な先発投手」を狙っています。
これは、大谷にも当てはまる要素ですね。
これには主に理由が2つあります。
1つは2025年以降の先発ローテの穴埋めです。今季のブレーブスはフリード、ストライダー、モートン、エルダーの4人の投手を中心にローテを回していましたが、来季オフにフリードとモートンはFAとなります。MLBでもトップクラスの先発左腕であるフリードは年俸の高騰が予想されており、再契約の可能性は低いと考えられています。
また、モートンは再契約の可能性はあるものの、来季で40歳と、いつ衰えが来てもおかしくない状態です。
エルダーは今季は運に味方された場面も目立ちましたし、伸び代も多く楽しみな若手である一方で、今季残した数字ほど今後に信用を置けるかはかなり未知数でしょう。
また、カイル・ライト(彼は来季投げられず復活するかも未知数ですが)とソロカ(元から保有権1年なので何とも言えないところですが)もトレードで放出しています。
そうなると、今後も信頼できる投手はストライダーのみとなってしまいます。来季はTJ手術明けでイノアとイアン・アンダーソンが復帰し、ブレーブスのプロスペクトはTOP100入りしているAJSSとウォルドレップを中心に投手を多く抱えているとはいえ、不安な状況です。
このような状況で、2025年以降も計算できるローテ投手を必要としているのです。ローテのクオリティの維持はもちろん、TJ組がリハビリしたり、プロスペクトたちが成長するまでの時間稼ぎという役割もあるのです。

2つ目は、2024年はブレーブスにとって勝負の年になるという事です。1つ目の理由により、ブレーブスが最大戦力で戦える1つの節目が2024年です。そのシーズンに、しっかり投げられる先発が1人追加される。
これは非常に重要な事になります。
どちらも、責任重大な仕事です。

さて、この2つのポイントから、大谷の状況を見ていきましょう。
時系列的に、まず2つ目の理由から行きましょう。大谷は2024年シーズンは全休する見込みです。この時点で、少なくとも2つめのポイントとはミスマッチという事になります。

では1つ目の理由はどうでしょう。大谷は2025年シーズンは復帰イヤーとなり、リハビリの意味合いを持つシーズンとなるはずです。
しっかり投げる事にはあまり期待できない可能性が高いでしょう。
2026年は投げられるかもしれませんが、プロスペクトの成長やTJ手術組の経過を考えると、優先度は2025>2026年です。
また、2018年からMLB入りして、大谷は6年間で既に2度も大きな手術をしています。また、二刀流のため、身体にも大きな負担がかかり、故障リスクもより高くなるでしょう。となるとそもそも2025年以降どこまで投げれるかは、リハビリという視点を排除しても、かなり未知数です。

このように、ブレーブスの今のローテ事情と、大谷のリスク面が、噛み合わないのです。

③オズナの存在

二刀流の負担も考えると、やはり大谷が仮にブレーブスに来るとしたら、ポジションはDHでしょう。
ではブレーブスのDHは誰か。
マーセル・オズナです。2020年に1年契約でブレーブスにやってくると大活躍し、オフに4年契約をゲット。しかし、1年目は成績不振、故障からのDVでシーズン終了、2年目も成績不振に飲酒運転と、全くの期待外れに終わってしまいました。しかし、3年目の今季は突然復活し、40本塁打、OPS9割をマークする大活躍でした。
過去の2年の事もあり、来季も活躍できるかは確信が持てない部分はあるものの、今のブレーブスに無理をしてDHを補強する必要性はありません。
ブレーブスの野手の補強ポイントはどちらかというとレフトでしょう。
では大谷をDHに入れてオズナをレフトに回すのはどうか、という意見もあるにはあるのですが、かつてマーリンズに在籍した頃はGG賞も受賞した彼も故障と年齢の波には勝てず守備力はかなり落ちており、ここ数年はほとんど守備についていません。
そんな彼にレフトを守らせるのは厳しいものがあります。
ではトレードはどうか、となりますが、仮にも2年連続でお騒がせ騒動を起こしてしまった経歴、去年までの打撃不振、ほぼDH専である事、来季34歳という年齢を考えると、トレードは今季の成績の割にかなり茨の道になる可能性があります。

④まとめ

長くなってしまいましたが、簡潔に内容をまとめます。
①ブレーブスの球団経営方針に合わない
②ブレーブス補強ポイントとあまりマッチしない
と言ったところでしょうか。

これが、ブレーブス大谷が起きる可能性はほぼ無いと言われている理由だと考えられます。

⑤獲得の希望?「ほぼ」の理由

一方で、ブレーブスが大谷を獲得する可能性を完全に0だと言い切る有識者やファンは非常に少ないと感じます。
実際、大穴として挙げられる事もあるのは事実です。

ブレーブスのGM、アンソポロスGMはかなりクレバーな補強を展開する事で有名です。
2021年にはTDLで外野手を4人乱獲して全て的中させてWSを制しましたし、去年はTDLでエンゼルスからイグレシアスを、オフにはトレードでマーフィーを獲得するという誰も予想しなかった補強を敢行しました。

大谷がスペシャルな選手なのは紛れもない事実です。
そんな大谷を獲得する、そんな手の内も、もしかするとあるかもしれない。
アンソポロスGMはそういうGMです。

もしかしたら…という可能性も、0とは言い切れないのです。

⑥「それでも」

ここまで長々と色々書いてきた訳ですが、最後に一言。

「アトランタに来ませんか?」

やっぱり、応援してるチームで見れるなら、ぜひ見たいですよね。
可能性はほんのわずか、それこそ誇張抜きで0.01%とか、そんな次元でしょうが、「もしも」があるなら、期待したいです。

⑦終わりに

いちMLBファンとして、大谷の移籍先には非常に興味があります。
どのチームとどんな契約をしてどんな活躍をするのか。
大きな期待を胸に、オフシーズンを見守りましょう。

それでは、また!

見出し画像はこちらから、大谷獲得予想オッズTOP10!(ブレーブスは入っていませんが…)↓



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