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2024年7月30、31日の金融政策決定会合

こんにちは。飯能高校探究部部長のギンです。
今回は、2024年7月30、31日の金融政策決定会合について話していきたいと思います。

当面の金融政策運営について(金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について)

短期金利

短期金利は、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を0〜0.1%から0.25%程度としました。

3月にマイナス金利を解除するときに追加利上げについては9月か10月と言われていました。
しかし、今回は7月会合で追加利上げが行われ7月利上げは会合の直前で織り込まれたので結構、利上げを焦っている印象を持ちました。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf

国債買入れの減額計画

6月会合で7月会合に国債買入れの減額について今後1〜2年の国債買入れ減額計画について発表することとしていましたが具体的な内容が今回発表されました。
内容は、月間の長期国債買入れを毎四半期ごとに4000億円程度ずつ減額を行い2026年1〜3月には3兆円程度(2.9兆円)に減額する計画が発表されました。
ここ1ヶ月間で大体3兆円程度減額されていると予想されていたため概ね市場の予想通りの減額幅でありました。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf

展望レポート

基本的な見解、概要


https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404b.pdf

前回4月の展望レポートで注目した物価の先行きを見ると『見通し期間後半に「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』という中心見通しに変化はありませんでしたが、円安などによって物価が上振れリスクを警戒しています。

また、基本的見解ではありませんが金融政策運営をみると

4月の展望レポート 
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この 点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・ 物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・ 安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策 を運営していく。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404b.pdf

7月の展望レポート
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現 在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経 済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利 を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本 銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現とい う観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407b.pdf

今後の金融政策運営に関して当面、緩和的な金融環境が継続するされていましたが、7月は引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくとしていて今後も継続的に政策金利を引き上げていくことを示唆しました。

政策委員の物価見通し

消費者物価指数の除く生鮮食品の見通しを見ると2024年は2.5%(4月時点2.8%)、2025年は2.1%(4月時点1.9%)、2026年は1.9%(4月時点1.9%)となっています。

2024年は0.3%の下方修正、2025年度は0.2%の上方修正がされました。
しかし、いずれも日本銀行が目標としている2%の物価安定も目標と整合的な水準です。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf

植田総裁の会見

会見について2箇所ほど引用しました。

(問) 一点は金利の先行きの見通しについてです。日銀は物価見通しに沿えば、中立金利 まで政策金利を引き上げていくという方針を示されています。過去 30 年、日本の政 策金利は 0.5%を超えたことがないわけですけれども、市場でも壁として意識され てます。総裁の中で 0.5%以上の利上げを判断する材料としては、現状と比べて更 に追加で必要な材料があるのでしょうか。それとも物価が見通し通りに推移すれば 判断できるということになるのでしょうか。 もう一つが将来的なバランスシートについてお伺いします。今回の減額は、特に資 産側、金融機関の国債の買入れ余力の見極めを重視したというふうに認識してます。 一方で、その残高のゴールがなかなか見えない中で、将来的に資産・負債サイド、 どういった点に着目して目指す残高を決めていきますでしょうか。総裁のお考えを お伺いできればと思います。

(答) 前段ですが、これも先ほど申し上げましたように、経済・物価の情勢が私どもの見通しに沿って動いていけば、今回、物価見通し、経済見通しもですけれども、ほとんど変更していないわけですが、引き続き金利を上げていくという考えでおります。 その際に 0.5%は壁として意識されるかというご質問だったと思いますが、そこは 特に意識しておりません。 それからバランスシートの大きさですけれども、国債の保有残高ということで言い ますと、約 2 年後に私どもの試算では、今回の計画によって 7~8%程度減少すると いうふうに考えています。ただ、これはまだおそらく長期的に望ましい水準よりも 高い水準であるというふうに思っています。そのうえで長期的に望ましい水準がど の辺かということは、他の中央銀行もそうですけれども、現在、量的緩和の後、皆さん模索状態にありまして、私どもとしても、海外の例も参考にしつつ、だんだん と見極めていきたいというふうに考えています。

(問) 一つ目が、今後の金融政策運営についてですけれども、最近では 3 月にマイナス金 利解除で今回 7 月に利上げを決定しておりますけれども、年内にもう一段の利上げ に踏み切る可能性についてどういうふうに考えてますでしょうか。また、利上げの 影響っていうのを一定期間みてみたいというふうな思いはありますでしょうか。 もう一点が、利上げが経済に与える影響ですけれども、こちらは全体でみればプラ スだとみていらっしゃるか、経済主体によってはプラスもマイナスもあろうかと思 うんですけど、この辺りを整理して教えて頂けますでしょうか。

(答) 年内にもう一段の金利調整があるかどうかというご質問ですけれども、これは繰り 返しになりますが、ここから先のデータ次第ということになるかと思います。従っ て、それが見通し通り、あるいは見通し対比、上振れるというような際には、短期金利の一段の調整があり得るということかと思います。ただ、その前提として、デ ータや情報の確認ということになりますが、その際には、大した利上げではないですが、ここまで上げてきた利上げの影響についても確認しつつということに当然な るかと思います。
そのうえで、おそらく今回の利上げの影響というご質問だと思いますけれども、も ちろん利上げを単体で取れば、一部の貸出金利が上昇するというような影響がござ いますので、そこは総需要にマイナスの影響が、それだけを取ればあるという可能 性がありますけれども、背景として賃金や物価が上昇しているという中での動きで すので、経済・物価がこれを契機に減速するというふうには必ずしもみていないと いうことと、より長期的な観点から申し上げますと、非常に低い水準にある金利を 経済・物価情勢に合わせて少しずつ調整をしておいた方が、先に行って慌てて調整 するという事態に追い込まれたときに、ものすごい急激な調整を強いられるという リスクを減らすという意味で、全体としてはプラスになるという考え方もあり得る かなというふうに思っております。

今回の、会見では今回の0.15%の利上げは大した利上げではなく対して経済に負の影響は与えず名目短期金利は0.15%ほど上がったが実質金利ベースで見るとまだ大幅なマイナスになっているというような説明がありました。

今後の政策金利については経済、物価が日本銀行の見通し通りに進んだ場合は引き続き政策金利を引き上げ金融緩和の度合いを調整していくし水準について0.5%などは壁として意識していないと今後も継続的に利上げをしていくと示唆しました。

今回の会見は今までの会見とは別人になってしまったかのようにハト派からタカ派に変化しました。

市場の反応

株価

12時56分に声明文が発表されると株価は上下に乱高下しました。
取引終了前に上昇しましたが15時30分からの植田総裁の会見でタカ派的なスタンスが伝わると下落しました。

https://sekai-kabuka.com/
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為替レート

12時56分に声明文が発表されると上下に乱高下しました。
その後、15時30分からの植田総裁の会見でタカ派的なスタンスが伝わるとドル円は急落し大きく円高が進みました。

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国債金利

チャートが途切れているので正確な時間は言えませんが、0.038%から0.068%ほど上昇しました。

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まとめ

今回は、2024年7月30、31日の金融政策決定会合について話しました。

これからも経済、物価、金融情勢について話してくのでよろしくお願いします。


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