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行政の情報システムとベンダーロックイン

こんばんわ、はんにんまえです。

今日も気になる記事について、自分の感想を記録します。

【今日の気になる記事】
行政の情報システム発注、公取委が調査 囲い込みを懸念

ざっくりの内容は、公取委が政府や自治体の情報システム調達において、システム仕様が原因で業者(業界ではベンダーと呼びます。)による囲い込み、ベンダーロックインが起きていないか調査するとのことです。

まず、記事内容の問題に触れます。
①発注側に対して自社しか対応できない機能を仕様に盛り込むよう求める
 書き方に悪意がありすぎです。そもそも行政が業者選定を本気でする場合、RFPの前にRFI(Request For Information、情報提供依頼)をすることが多いです。ここで各ベンダーからの回答からいいとこどりして、厳しい仕様を決めてしまうのは、行政側(+コンサル会社)の問題です。仕様を厳しくすればするほど、当然のことですが、参加するベンダは減り、価格はあがります。それを情報提供したベンダーが悪いみたいに書くのは不適当と思います。
②新規案件を極めて安価に落札した上で、自社の仕様にして関連の受注を確実にする
 
行政側が常識的な最低入札価格を設定すればいい話です。一部の悪質な業者の魂胆見え見えな安値に飛びつく行政側にも問題があると思います。

はっきり、いいます。この記事は本質を突いていないと思います。なぜかといえば、この市場は買い手(行政)が圧倒的に強い市場だからです。いくらベンダが囲い込もうとしても、行政が本気なら囲い込みなんて絶対ムリだからです。

今日は、知っていることを説明したいと思います。

【行政に関する情報システムの業者選定で起きていること】
行政の業務は法律や各種規則等で決められています。しかし、その運用の細部は行政ごとに異なり、それらに対応する機能の有無で職員の業務効率は結構変わります。安い情報システムに変えた結果、職員の残業時間がめちゃくちゃ増えた、システム事故やトラブルが頻発することは結構あります。また情報システムの移行には大なり小なりリスクが生じ、行政側にも確認作業などの追加業務が発生します。つまり、業者選定をして情報システムを入れ替えるためには、リスクと労力が必要です。そのため、利用している情報システムに不満がない場合、業者選定しても今の情報システムを継続したい、という心理が行政側に働きます。

しかし、行政の性質上、業者選定せずに情報システムを調達することは不可能です。だって情報システムの費用は税金から払われているのだから。
そこで行政は、意中のベンダに有利な仕様を仕様書に記載します。しかも価格点も盛り込むことで、調達価格も下げられます。つまり、この業者選定ごっこ(業者選定もどき)で、行政側は業者替えによるリスクを冒さず、また労せずコストカットができるということです。

囲い込みをベンダが起こしているように記事では書かれていますが、行政の情報システムの調達仕様は、行政(または委託したコンサル)が作成します。だから囲い込みは、行政が本気なら絶対ムリです。仮に囲い込みが起きるケースがあるとしたら、行政側がリスクや労力を伴う業者替えをせずにコストカットしたい、そのための『業者選定ごっこ(業者選定もどき)』をやっている場合のみです。

何でもかんでも事業者が悪いみたいに書くんじゃねーよ!



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