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【司会者 3タイプ】「授業型」「部活型」そして「放課後型」へ【お笑い】

                        (2022-01-21 投稿記事)
 先日、若槻千夏と佐久間宣行 (TVプロデューサー) の対談動画を見て、ふとバラエティ番組のMCをタイプ分け、もっと言えば世代ごとにタイプ分けできるんじゃないかと考えたためここに書き留めておきたい。

 タイトルの通り、お笑い芸人のMCを「授業型」「部活型」「放課後型」の3タイプに分けて考えてみることにした。 
 学校にまつわる名づけ方になったのは、最初に思いついたのが「放課後型」であったことと、このタイプこそが今後のMCの主流になると考えたからである。

若槻によるひな壇とMC論

 論というほどの大仰なものではなかったが、10年以上前からバラドルとしてひな壇に座っていた若槻による中堅芸人MCについての所感は次のようなものだった。
 「有吉やフットボールアワー後藤など現在の売れっ子MCはひな壇出身であるため、私たち (ひな壇タレント) の気持ちを汲み取った回し方をしてくれる」
 なるほど上記の発言からは中堅MC特有の巧みさを窺い知ることができる。しかしながら筆者が注目したのはむしろ上記の直前に放たれた以下の発言であった。「その当時のひな壇芸人 (有吉や後藤) はバチバチに火花を散らしており、とても自分 (若槻) が滑った時にフォローしてくれるような感じじゃなかった」
 この発言を聞いた時「10年くらい前のひな壇は戦場そのものだったらしい」というニューヨーク屋敷の発言を思い出し、それが今回の芸人MC類型を思いつくきっかけとなった。
 前置きが長くなったが以降3タイプについて考えていきたい。

「授業型」

 世代としては、BIG3 (たけし・さんま・タモリ) やダウンタウン、ウッチャンナンチャンなどが該当。
 このグループはひな壇経験が無い、あるいは少ない芸人がほとんどで、良くも悪くも自身の個性を強烈に発揮しながら回すタイプのMCといえる。
 「MC」と「それ以外の演者」という構図が際立っており、いいとも、御殿、ジャンクスポーツといった、芸人以外の演者が多数出演する番組でも巧みに回していくタイプ。
 その姿がさながら教師と生徒のようだと感じたため「授業型」と名付けた。

「部活型」

 世代としては、くりぃむしちゅーやバナナマン、フットボールアワー、有吉などが該当。
 このグループは、ひな壇やロケの経験が豊富で、柔軟かつ卒なく回せるタイプのMCといえる。
 現にクイズ番組や旅番組などを担当していることも多く、自身の経験を上手く活かしたスマートな進行が持ち味。
 逆に言えば、番組自体の企画力・構成力に依存している部分もあるため、極端な話、MCをほかのタレントにすげ変えたとしても基本的には、少なくとも番組のフォーマットとしては成立してしまうだろう。
 その辺りが「授業型」との大きな違いといえるかもしれない。いいとも、御殿、ガキ使などは「各MCの番組」というイメージが強くある。
 確かにそれらとてトークバラエティなどといった番組形式が一応ありはするものの、別人をMCに変えたとしたらやはり番組自体のイメージが大きく変わってしまうと思われる。
 とはいえ「部活型」MCにおける、多彩な番組に対応できる能力は確かな魅力ではある。
 また先にもあったように、ひな壇芸人や達者なバラドルらとも上手く絡めるし、同時に彼らの存在がMCの下支えとなっていることも多い。
 すなわち、MCとひな壇との連携・関係性、それによる巧みな裏回しなど「階層・役割・専門性」を前提として力を発揮するという点から、この世代のMCを「部活型」と名付けた。

「放課後型」

 世代としては、見取り図、ニューヨーク、そして第7世代以降の若手芸人らが該当。
 このグループは、しばしば同期や年の近い芸人同士でTV出演するためか、MCとひな壇との境界が明確でないことが多い。
 「ダウンタウン以降」のバラエティ番組を前提とし、お笑いブームと共に育ったためか、お笑い芸人を志す人口が多く、M-1等の賞レースは勿論、地上波のTVに出演するために熾烈な競争を強いられている世代でもある。
 従ってTVバラエティに出演する (出演出来る) ようなメンツはネタも平場も達者な、いわば総合力が高い芸人が基本となっている。
 一方、上の世代の層は厚く、とてもじゃないが彼らが単独MCを張れる番組などそうそうに無いのが現状である。深夜の冠番組を持てた芸人は一握りの精鋭であろうし、そうであっても他の芸人と共同レギュラーであることが多い。
 すなわち、あまりの芸人人口過多により、第一線で活躍する芸人たちがパイの取り合いを通り越してパイの「分け合い」を強いられるような状況に置かれている。
 奇しくもこの世代にもたらされた「横の連帯」を前提に、深夜番組・配信番組・Youtube等を駆使して「自分たちの居場所を密かに作り上げている」。
 その姿が、さながら学校が終わった後の教室や下校途中、あるいは友人の家などで遊び、時に悪ノリ大会に興じる学生のようであることから「放課後型」と名付けた。

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