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蛾のハネがめっちゃ音を吸収するらしい(吸音率87%)

コウモリは今から約6500万年前に「エコロケーション」の能力を手に入れたと言われている。エコロケーションとは、超音波を発信して、その反射(エコー)を感じることで、周囲の状況を把握する技術のことであり、これによってコウモリは暗闇の中でも蛾などの獲物を狩ることができる。

狩る側が進化すると狩られる側も進化するもんで、蛾はコウモリに居場所を特定されないように、超音波を吸収できる翅の構造を進化させはった!蛾の翅には綺麗に「鱗粉」が並んでいて、この鱗状の構造が音を吸収する効果を持っていて、防音室のギザギザの壁と似たような原理らしい。実際、蛾の翅が吸音材として機能することで、コウモリからほとんど「見えなく」なっていることが判明している。

サクサン(ヤママユガ)の翅の拡大図、中央が吸音性をもつ鱗粉 / Credit : T. R. Neil et al., "Moth wings as sound absorber metasurface", Proceedings of the Royal Society A: Mathematical and Physical Sciences, 2022

そこで、英ブリストル大学は「蛾の翅って吸音パネルとして使えるんちゃうか?ノイズキャンセリング機能付きの壁紙とかつくれるんちゃうん?!」って考えはった。

彼らは、蛾の翅が壁のような音響的に反射率の高い表面に貼り付けられたときにどれくらい吸音してくれるんかを調べるために、アルミニウムの板にヤママユガ科のサクサン(学名:Antheraea pernyi)という蛾の翅を貼り付けてテストしてみはった。

雌のサクサン(Antheraea pernyi)の標本 / Credit: wikipedia

その結果、蛾の翅は、硬い表面に貼った場合でも、入射してくる音波の87%も吸収できることが明らかになったの!加えて、翅のノイズキャンセリング機能は無指向性かつ広帯域に対応していることから、いろんな角度から入ってくる幅広い周波数の音波に対応できることがわかった!

鱗粉をさらに拡大した図 / Credit : T. R. Neil et al., "Moth wings as sound absorber metasurface", Proceedings of the Royal Society A: Mathematical and Physical Sciences, 2022

蛾の翅はめちゃめちゃ軽くて薄いから、従来の材料では作れへんかった超薄型の吸音パネルの開発に向けたヒントになるはず!今後は翅の吸音メカニズムに基づいた質感をもつ素材を試作する予定らしい。

騒音公害は現在、健康を損ねる環境要因として懸念されていて、難聴や高血圧、ストレス、心臓病、睡眠障害などとの関連が指摘されている。特に人口が増えている都市部では、軽量かつ効果的な防音材のニーズは高まり続けている。また、モビリティーに搭載する吸音材の軽薄化は、燃費や二酸化炭素排出量の削減に貢献すると思う。バイオミミクリーのアツいネタじゃ!

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