統計のあやうさ(警察の統計を基に)
年末になれば
「2023年中の交通事故死者数は ◎◎人で過去最低を記録した」
「2021年の刑法犯検挙率は80%で、これは過去最高であった」
などという新聞記事やその他メディアの記事が躍りますね。
それをみた我々市民は
「ああ、最近交通事故死者も減ってひところの『交通戦争』とは無縁の社会になりつつあるんだなあ」
「さすがは日本の警察、検挙率は世界一だし、治安が良いね」
と統計上の数字に目を奪われ一喜一憂し、世間話のネタにします。
ところが、
この統計上の数字の裏に隠された事実についてご存じでしょうか?
1 交通事故死者数
警察庁のHPによれば「交通事故統計における用語の解説」として
◆「死亡」(「死者」)とは、交通事故によって
発生から24時間以内に亡くなった場合(人)をいう。
以下略。
とあります。
つまり、当該年に死亡した死者数は事故発生から24時間以内にお亡くなりになられた人々の数であって、24時間を経過し極端な話で恐縮ですが25時間目にしてお亡くなりになられてもその方の数は統計には入らないという事実です。
もちろん事故から二日後、一週間後、或いはひと月後にお亡くなりになられるケースは統計上無視されます。
すなわち、実際に交通事故で無くなる方の数は警察が発表する年間死者数とは大きくかけ離れたものであるということです。
2 犯罪検挙率の怪
犯罪検挙率とは
犯罪認知件数を検挙した事件数(人員数)で割った数
を言います。
この数字を素直に信じるととんでもない値に出会うことがありませんか?
検挙率200% とか300%とか。
この値のカラクリはこうです。
発生件数2件に対して検挙ゼロだと
検挙率は ゼロ ですよね?
検挙2件で検挙率 100%
では検挙1件だと?
200%
と言う値が出ますね?
発生件数が検挙件数を上回ると言うのはどう言う場面が想定できますか?
答えは
検挙した一人の泥棒が10件の余罪を自供し、その裏付けが取れた場合
などです。
ちなみにこの場合の検挙率は
なんと1000%
となります。
すなわち検挙率をもってその警察組織の優劣を論議することは無意味ということです。
先述の余罪自供に基づいて発生状況の裏付けを行いますが、万が一被害者が被害届を出していない場合は事後に被害者を説得して被害届を提出させます。
そしてあの検挙率200とか300
はたまた 1000
などと言うとんでもない値が出ることになるのです。
刑事が余罪を自供させるのにはこうした背景があるのです。
検挙率の値
のみで治安の良さを論ずることが無意味であることがおわかりになったと思います。