湘南の本|『なぎさホテル』伊集院静
湘南が舞台となっている本を読むのが好きです
備忘録も兼ねて簡単にご紹介します
本の紹介
『なぎさホテル』 伊集院静
小学館文庫 2016年(単行本 2011年)
感想など
逗子海岸にあった逗子なぎさホテル(1926~1989年)が舞台となっている
これは伊集院さんの自伝なのだが・・・
本当にこんな人生があるのだろうか?
東京での暮らしがうまく行かず、あきらめて故郷の山口へ向かうはずの東京駅で、なぜか関東の海を一度見ておきたくなり、ふらっと逗子へ向かう
逗子の海岸で、たまたまなぎさホテルの支配人に声を掛けられ、そこから七年間ホテルに住まわせてもらう
そして、その間に少しずつ作家としての道を歩み始める
自分をうまく見せようとする表現は一切なく、酒とギャンブルが好きで、お金には無頓着、そしてやや暴力的な一面もある人物として自身を描いている
こんな人が近くにいたら、とても友達になりたいとは思わない・・・はずなんだけど、なぜか周りの人が放っておかない
伊集院さんというのは、きっとこの本では表現されていない、とても魅力的な人物なのだろう、と想像してしまう
また、なぎさホテルにいた当時の伊集院さんは、デビュー前後の夏目雅子さんと一緒に過ごしていた時間も多かったようだ
この本の中にも「M子」として登場する
だけど、あまり詳しく触れられていません
「周囲の人への配慮もあり、彼女について執筆はできない」と書いてありました
主に執筆時点のパートナー(篠ひろ子さん)に配慮しての事でしょう
この本には、人との出会い、生と死、という大きなテーマがあるように感じます
伊集院さんが大切な人を亡くしてしまう話がいくつか出てきます
これがこの本を読んで一番強く印象に残った言葉です
偶然にも同じ時間に生を得た大切な人との時間を、当たり前に存在するものだと思わず、もっと大事にしよう(日々の選択の中で意識してそうしよう)
そんな感情が湧いてくる一冊でした
逗子なぎさホテルの跡地は、現在はすかいらーく系のファミリーレストラン(ラ・オハナ 逗子海岸店/夢庵 逗子店)になっています
あの近くに行くたびに『なぎさホテル』の物語を思い出してしまいます
リンク
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