◆ 気になった本 18
「極夜行前」(角幡唯介 文藝春秋 9784163909745)
恐ろしいことに
自分の力だけで極夜を切り拓きたい
一日中太陽が上がらない世界を体感して
機械に頼らないで 自分が今どこにいるのかという
根源的な恐怖を克服したい
そんな欲求をストレートに体現するだけではなく言語化する
そして 克明に記録を残す
この人って いったい...
第1章では大先輩から
「とにかく君はね、今、入り口に立ったんだ」
そんなありがたくないアドバイスを受け取る
そして次は
一匹の犬ウヤミリック(“首輪”という意味)と
グリーンランドを“彷徨”...
>この隔絶感、自然との対峙感こそ自由の正体であり、
>私は真の自由を満喫するために北極の地に(中略)
>来てしまうのだ。
と生死の境にいながらこんなふうに感嘆し
また
ウヤミリックの成長とカクバタとの関係性は
まったくジーンとするしかない!
(まったく とんでもないDV野郎だぜ!)
第3章では
書き手が渇望している「探検」の意味を自ら知る
すなわち
>探検という名のもとに追い求めてきた行動を貫く
>根源的な何かが表現されているようにも思えた。
>それは何か。(中略)
>結局のところ、世界の最果てに行きたいという、
>ただそれだけではなかったか。
何年も前に読んだ「極夜行」(文藝春秋 9784163907987)
じっくりと思い出す
あそこには とがった荒々しさ激しさがあった
今回は ずいぶん筆致が抑えられている
それこそきっと「時間の経過」の結果であり
そのせいで ある程度 自らを客観視できるようになったんだろうな...
しかし
カクハタ 変態で偏執狂のおっさんやで
今後もどうかご無事で...