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A BATHING APEと24時間テレビの巻

90年代後半から、2000年代前半にかけて、一世を風靡したアパレルブランドがある。A BATHING APE(以下BAPE)だ。

最近は少々着るのが恥ずかしいアイテムとなりつつあるが、当時はSupremeより人気があったし、現在のSupremeの様に完売になったアイテムが速攻でプレミア化する様な状況だった。BAPEを着るのを恥ずかしいと思ってしまう人達は、私を含め当時BAPEを愛用していた人達ではないだろうか?

元々、BAPEはデザイナーのNIGO氏の好きだった映画「猿の惑星」がモチーフにされていたり、昔のアメカジブランドの感じをいい感じに再現していたり、ビースティーボーイズやコーネリアス、スチャダラパーといったミュージシャン達にも愛用されていた事から、サブカル好き、古着マニア、音楽ファンに愛用する人が多かったのだが、古参のファン達が一瞬で愛想を尽かす出来事が起きる…24時間テレビのTシャツのデザイナーにNIGO氏が選ばれ、その年の24時間テレビのTシャツのデザインがBAPEの定番デザインそのものだったのだ…私もかつて持っている服の大半がBAPEだった位にこのブランドが好きだったのだが、これきっかけで着なくなった口である。

なぜなら私は24時間テレビが大嫌いである。

この番組を毎年楽しみにしている人間はバカだと思う位に大嫌いである。

あんな善意の押し売りの感動ポルノを有難がっている層が、気持ち悪いとさえ感じる位に嫌いである。

イラストレーターや画家が、24時間テレビのTシャツのデザインをするのは、全然OKだと思うが、アパレルブランドがこれをやるのは自殺行為である。それは、24時間テレビのTシャツはダサいTシャツの代名詞だからだ。

こういう発言をすると「アパレルブランドがチャリティーの為にデザインを提供したのが何が不服なのか?」と反論するバカがいるだろう…

はっきり言おう、出演者に高額のギャランティが支払われている、このエセチャリティ番組において「善意」なんてものは存在しないのだ。

この時期のBAPEを運営する、ノーウェアは、日本未発売のスニーカーを高額で売るスニーカーショップ(後に自社ブランドのスニーカー専門店に変わる)フットソルジャーやカフェ、美容室などの多角経営がたたり経営が危うかったと聞く、24時間テレビを通じて新しい層の顧客を引き込みたかったのだろう。この頃から今までとは違う層のファンが増え、古参のファンが離れていったのを身を持って感じていた。要は着るのが段々恥ずかしくなってきたのだ…

実際にこの数年後、BAPEは香港のアパレルブランドに売却され、香港のブラントとなり、コロナ前まで、街中でBAPEを着てる人は中国人観光客位しか居ないような状況だった、観光客が入って来なくなったコロナ後は着ている人自体を街中でほぼ見なくなった。

かつてファッション雑誌のストリートスナップはBAPEを着た人で溢れ、ストリートファッションの王様と言われた程のブランドだったのにだ…

調子に乗って経営不振になったアパレル企業が、古くからのファンを置き去りにして、自らとどめをさせたと言うお話。









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