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バラの歴史からみたマリア様がみてる「ウァレンティーヌスの贈り物(前編)」と「ピース」

ごきげんよう、はねおかです。
今回はウァレンティーヌスの贈り物(前編)です。

このお話は、マリみて世界においては、山百合会と一般生徒との敷居を下げた画期的なお話ですね。
蓉子さまの悲願と、新聞部三奈子さまの行動力があって達成されたものです。

バラの歴史の中で、最も画期的なバラといえば、「ピース」をおいて他にないでしょう。

ピース(Peace 新宿御苑)

ハイブリッド・ティー・ローズは、ティー・ローズと、ハイブリッド・パーペチュアルローズを交配させた品種です。
ティー・ローズは、ロサ・キネンシスとロサ・ギガンティアの交配品種である「ヒュームズ・ブラッシュ・ティー=センティッド・チャイナ(ロサ・オドラータ)」を。
ハイブリッド・パーペチュアルローズは、ロサ・キネンシスやダマスク・ローズ、ロサ・ケンティフォリアなどの複雑な交配からなる、当時は最先端のバラを指します。
現代においてハイブリッド・ティー・ローズは、四季咲き性、木立性を持つ、中輪~大輪咲きバラの総称と言っていいでしょう。

記念すべきハイブリッド・ティー・ローズの第一号が「ラ・フランス」です。
しかし、このラ・フランス。交配親もよく分かっていないバラで、「ヴィクトール・ヴェルディアとマダム・ブラヴィ」や、「マダム・ファルコの実生」など諸説あり、解明されていないのが現状です。
それくらい、バラの歴史というのは複雑で分かりにくく、明らかにされていない部分が多いのです。

ラ・フランスがハイブリッド・ティー・ローズの第一号として認められたのは、ハイブリッド・パーペチュアルのような半つる性でない木立性と、完全なる四季咲き性を持つことが、これまでの最新系統であるハイブリッド・パーペチュアルローズと明確に異なることから、新しい系統として設立されたことがきっかけとされています。

そんなハイブリッド・ティー・ローズは、バラ好きの間で瞬く間に広まり、今ではフロリバンダ・ローズ、クライミング・ローズと共に園芸品種の顔と言っても過言ではありません。

そして今回のタイトル、ピース。

分類:ハイブリッド・ティー・ローズ
作出:メイアン(フランス)

メイアンといえば、フランスを代表するバラ育種会社です。
ルージュ・ピエール・ド・ロンサール、チャールストン、カクテル…様々な名花を送り出してきました。

カクテル(京成バラ園)

キリリとした剣弁高芯咲きで大輪の花。
クリームに淡いピンクの覆輪。
艶やかで大きな照葉。
当時としては高い耐病性、耐害虫性。
誰にでも栽培が容易な育てやすさ。
それらは全て、当時のバラ界にとっては革命的でした。

このピースの子孫だけで400品種以上はあると言われる、まさに名花中の名花。
例えば、強いフルーツ香と美しい花形で最速の殿堂入りを果たした「ダブルディライト」は、グラナダという品種とガーデンパーティーという品種から生まれていますが、ガーデンパーティーはシャーロット・アームストロングとピースの実生から生まれています。
つまり、ピースの孫にあたると言えるでしょう。

また、ドイツ語で「香りの雲(フレグランス・クラウド)」と呼ばれる「ドゥフトボルケ」も、プリマ・バレリーナとモンテズマというバラから生まれていますが、プリマ・バレリーナはピースの子孫です。

ピース自体が素晴らしいバラであるため、その子孫たちに脈々と受け継がれる名花の系譜。

マリみての世界では、バレンタインカード企画は大成功。
第二回も開催されました。
きっと、今後も開催されていくでしょう。

水野蓉子さまが夢見た、一般生徒と山百合会の垣根を取り去ったイベント。
それはまさに夢のよう。

ピースのまた、当時としては強健なバラで、美しさ、香り、育てやすさを兼ね備えた夢のようなバラでした。

山百合会と一般生徒との壁を取り払った画期的なイベントに、世界のバラ界を変えたピースとの共通点を見出している今日このごろです。

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