設定の量で物語の文字数を制御する
小説のコンテストでは文字数の規定があることが多いですよね。
10万文字ぐらいが目安なものもあれば、
1万文字未満の短編のコンテストもあります。
ショートショートだったら1000文字未満ということもあるかもしれませんね。
狙った文字数に物語のサイズをぴったり寄せるのって、少し大変です。
慣れればある程度制御できるんですけど、
慣れないうちには規定をはみ出てしまったり、全然足りなかったり。
文字数というものに苦しめられがちです。
物語の文字数を制御するなら、設定の量で調節するのがおすすめです。
設定の量で制御するクセをつけておくと、プロットを練る段階から文字数の調節が可能となるので、とても効率が良いのです。
設定の量が多ければ文字数も多くなる
当然ですが、
設定が多かったら文字数は多くなります。
言われてみれば当たり前のこと。
でもその関連性に意識を向けずに文字数で苦労する人は結構いるものです。
ショートショートを書くのであれば、
たくさんの設定を持ち込むことはできません。
一つの設定で遊ぶのが基本のやり方となるでしょう。
たとえば。
とても高性能なロボットがある。
でも高性能すぎて人間には不便な一面がある。
という具合に、
まず設定を説明し、その設定のオチを書くのです。
この形なら1000文字未満のショートショートに収めやすいです。
長い物語を書きたい場合はたくさんの設定が必要となります。
高性能なロボットだけで何万文字も書くのは現実的ではありません。
ロボットを開発した人やそのロボットを使っている人など、周辺の設定をたくさん用意することで長い物語を組み立てられるようになります。
ショートショートの場合には、
設定を出す→設定のオチを見せる
という形でしたが。
長編の場合には、
設定を隠す→やがて設定が明らかになる
という使い方もできます。
さらにそこから設定のオチを見せて活用もできます。
物語の進行とともに徐々に新しい事実が発覚する。
その驚きは読者を魅了しますからね。
設定が大量にあれば、そのうちいくつかは隠し持っておけます。
中盤や終盤に披露し、その驚きを軸にシーンを作っていけば、どんどん文字数も増やすことができちゃいます。
設定にまつわる描写で文字数を増やす
先ほど、1000文字未満のショートショートを書く時の例を出しました。
でも2000文字くらいにしたい時もあるかもしれませんね。
そんな場合には、
もう一個設定を付け足してもいいのですが、
設定にまつわる具体的な描写のシーンを入れるのも有力な方法です。
高性能ロボットが実際にその働きをするシーンを具体的に描写していけば、これもやはり文字数を増やせます。
長めの物語であれば、設定を転がして複数のシーンを作ることもできます。
たとえば、とても臆病な主人公がいたとしましょう。
臆病という設定があるわけですから、怖がるあまり失敗をするシーンがまず作れますよね。
もしかしたら一度のみならず何度も失敗するのかもしれません。
そして中盤には恐怖を克服するシーンも作れそうです。
欠点を克服する「成長」というのは物語を盛り上げるためによく用いられる展開ですからね。
臆病だった主人公が、大切なもののために勇気を振り絞る。
これで臆病にまつわるシーンがまた一つ増やせました。
でもまだまだシーンを作れます。
その後、主人公にさらなる壁が立ちはだかります。
さっきはうまくいったけど今度ばかりはもうダメかもしれない。
そんな予感から再び臆病が戻ってくるのです。
これでまたシーンが作れましたね。
そして臆病が戻ってきたのなら、さらにもう一個シーンが作れますよね?
そうです、再び臆病を克服するのです。
前回よりも力強く、自分の欠点と決定的に決別するシーンを描きます。
このように一つの設定をとことん使い潰してあげることで、
シーンが増えて文字数も増やせますし、
物語の進行にも説得力やリアリティが出てきます。
長く書きたい時は、たくさん設定を用意して、そのうちのいくつかは使い潰すつもりで何度も描く。
短く書きたい時は、設定が増えすぎないように気を付ける。
そうすれば狙った文字数にぴったり物語を収めやすくなりますよ。