見出し画像

#8 2024年の投資世界は、景気サイクルを巡る攻防(remix)

2024年の投資環境はどうなる? 
米国のソフトランディング成功? それとも暴落?
意見が割れている。
正反対の意見や情報が多すぎて、心が疲れてしまう。
中東情勢や米大統領選挙の行方など、個々の要因は多々あるだろうが、そんなときは、より普遍的で、より大きな支配原則を見るのがよいと思う――景気サイクルだ。

これは、よくネットで見る画像だけど、春夏秋冬のごとく、投資環境が決まった順序で移り変わっていくことを表している。
使う変数は、金利の高低と景気の強さ。
(※金利が低いほど企業活動に有利な環境)

春夏秋冬にたとえて見ていこう。

① 夏「業績相場」(金利が低く、景気が強い状態)
青空に太陽が輝いている、陰りがひとつもないような状態。
状況はシンプルで、素直に業績の良い企業の株価が上がる。

② 秋「逆金融相場」(金利が高く、景気が強い状態)
だいたいにおいて①の状態が長く続くと、景気が良くなりすぎる。
放置すると高インフレになるので、金利を上げて景気を冷やそうとする。
冬に向かう不安定な季節。
株価には逆風だが、あえて言えば、冬に備えて、ディフェンシブ銘柄(食品、ヘルスケアなど景気に影響を受けにくい業種の銘柄)が買われる。

③ 冬「逆業績相場」(金利が高く、景気が悪い状態)
②→③がものすごく重要。
ちょうどいいところで金利を上げるのをやめればいいのだけど、それは理屈的には不可能で、景気を冷やしすぎる。いわゆるオーバーキル。
なぜなら、インフレが落ち着いたかどうかの判断は、CPI(物価指数)、雇用統計などの指標、言い換えれば、過去の状態をもって判断するしかなく、現実の時はもっと進んでいる。
そして、高金利はボディーブローのように遅れて効いてくるので、それもいっそう時間差を広げてしまう原因となる。
よって、金利が高いうえに景気の実態が悪い、という、誰も望まない冬の状態が完成することになる。
企業業績はボロボロ、株価も壊滅。

④ 春「金融相場」(金利が低く、景気が弱い状態)
だが、陰はかならず陽に転じる。
景気対策で金利が下がりはじめ、だからといって、すぐに景気が良くなるわけではないのだけど、先に株価が反応する。
投資家が「夏」を見越して、買いを入れるからだ。
業績に関係なく、期待感で株価が上昇する。
特に、金融、化学、建設などの景気敏感株が良く反応すると言われている。
①の夏へ戻る。

これが景気サイクルの基本形だ。
今回、②「逆金融相場」のインフレ理由が、新型コロナウイルスや戦争による供給サイドの問題という事情はあるのだけど、現在は②「逆金融相場」の地点にいて、基本的には③「逆業績相場」→④「金融相場」へと動いていくということが言えるだろう。

最初のテーマに話を戻すと、「米国のソフトランディング」が成功する、そして金利がなだらかに下がり、株価がバカ上がりするというのは、冬(逆業績相場)をすっ飛ばして、秋(逆金融相場)が春(金融相場)になるということだ。
すべてに例外があるのが投資の世界だと思うので、決してあり得ない話ではないけれど、それは逆張り的な発想だということは心に留めたほうがよいと思う。

わたしの普段の投資スタイルは逆張りだけれど、大きな原則においては順張りでいたいと思う。

今、世界は異常気象だから、冬が来ないなんてことも、なくはない。

===
別の機会に書きますが、わたしの堅実ロック投資にとってもっとも大きなリスクは、暴落に巻き込まれるよりも、強烈な上昇気流のときに株を持っていないことだと思うので、冬への備えは「キャッシュを普段より多めに持っておく」くらいの対応にとどめると思います。

ぜひサポートをお願いします!良い記事を書くためのモチベーションにさせていただきます!