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小さなアミューズメントパーク

3か月に1度の歯のメンテナンスで歯医者に行った。
 この日は1年ぶりに歯のレントゲンを取ると言う。
 レントゲン室に案内された瞬間、口にビニールに包まれた細長いプラスティックの棒のような物を加えさせられた。いつものことなのでそれほど怖くはないが、あまり良い気持ちはしない。
 そうしているうちに、顔の前にバーのような物が降りてきて、顔と頭を固定された。これもいつものことなのでそれほど怖くはないが、何となくドキドキする。
 その後レントゲン室のドアが閉まり、歯科衛生士さんが出て行った。歯医者に限らず、レントゲンを取られる時一人にされる時間には、今だに若干の恐怖を覚える。こんな狭い部屋に、ほんの1.2分ぐらいかもしれないが一人っきりにされるなんて、本当にだいじょうぶなのだろうかといつも思ってしまう。

間もなくしてウィーンという電子音が聞こえてきた。顔の前の機械が微妙に動き出したのも分かった。
 気持ちを落ち着かせるためにも、その電子音に耳を傾けてみる。
 これが意外にもおもしろい音だったのだ。それはテンションが上がるような良い感じのシンセサイザーの音のような、あるいはアミューズメントパークのアトラクションが動き出す音のような…。
 そう、歯医者のレントゲン室は小さなアミューズメントパークなのかもしれない。そう思ったら少しは歯医者が怖くなくなるかもしれないと思った。
 そんなことを考えている間に、レントゲンは無事に終了した。

その後のメンテナンスの結果、口の中にばい菌が居るとのことで、帰りにうがい薬を渡された。今までそんなこと言われなかったのに。
 さらに上と下のほぼ同じような位置にそれぞれ1本づつ虫歯があるようだ。よって後2回歯医者に通わなければならない。とほほである。レントゲン室はアミューズメントパークかもしれないが、それでもやはり歯医者は憂鬱な場所だ。

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