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私の本当の星座は

星座には日付や時間によって境目があるようだ。昼食を食べながらつけていた渋谷のラジオでそんな話をしていた。
 ということはである。ラジオでも言っていたのだが、日付や時間によって境目があるのなら、それまで自分が思っていた星座と、実際の星座がじつは違っていたなんてことも充分ありうるのだ。
 その話を聞いて思い出した。
 私の誕生日は4月15日。幼稚園の頃まで、自分の星座はうお座だと聞かされていた。誕生日が丁度1カ月違いの父がうお座だったので、私は父と同じうお座なのだと思ってきた。
 ところがである。ある時母が唐突に言ったのだ。
「あんたうお座じゃなかった。牡羊座だった」
 まだ幼かった私には、それはまるで天と地がひっくり返るほどの衝撃だった。「あんたはお母さんの子じゃないのよ」、あるいは「じつはあんたとお姉ちゃんの間にはもう一人兄弟が居たの」というような話に匹敵するぐらい、その事実はショッキングな物だった。
 さらに今思うと気になったのが、なぜ『羊座』ではなく『牡羊座』なのだろうか。生まれつき全盲の私には、その当時は今よりももっと漢字という物を理解していなかったので、『牡羊座』の『牡』が何を意味するのかよく分かっていなかったのだ。なのでしばらくの間星座を聞かれた時には「羊座」と答えていた。
 そんなわけで、私の本当の星座は牡羊座である。星座も奥が深いんだねえ。

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