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Use of ChatGPT in academia: Academic integrity hangs in the balance

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160791X23001756

  1. 本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?
    ・研究者や学生は、新しいアイデアの生成や文献の要約、エッセイの執筆など、様々な学術的なタスクを完了するためにAI言語モデル(例えばChatGPT)を利用し始めています。しかし、このようなツールの使用は倫理的な問題を引き起こし、学術的な整合性やAIによる不正行為についての深刻な懸念を生んでいます。学術界はまだ、このような新技術をどのように利用すべきかについて明確な指針を持っていません。そこで、本研究では「学者や研究者がChatGPTを利用する動機とは何か、特に学術的な整合性がその利用行動にどのような役割を果たすのか」を理解することを目指しています。

  2. 本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?
    ・本研究の目的は、学術的なタスクを遂行する際にAI言語モデル(特にChatGPT)を使用する動機を理解することで、一見すると学術的な整合性という観点からは否定的な影響が考えられますが、それがどのようにしてChatGPTの採用行動と関わり、採用行動をどのように形成するのかを明らかにすることです。この視点は、AIの利用と学術の倫理性を考える上で新たであり、同時にそれが学術的な貢献を形成するための行動にどのように影響を与えるかを調査することによって、より深い捉え方と理解を提供します。

  3. 本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?
    ・AI言語モデルの進化とその利用の拡大は、学術研究の領域でも注目を集めており、これらのツールが研究活動を助ける一方で、学術的な整合性という観点では新たな問題を引き起こしています。これに対する適切な対応や指針がまだ整っていない現状で、本研究は学者や研究者がChatGPTをどのように見ているのか、その採用の動機は何か、という視点から新たな洞察を得ようとしています。

  4. 本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?
    ・本研究では、ResearchGateとAcademia.eduのユーザーから収集した702件の応答に基づいてチャットGPTの利用行動を分析しました。結果として、時間の節約機能、電子口コミ、学術的な自己効力感、自尊心、知覚ストレスはChatGPTの利用を促進する要因となることが明らかにされました。一方で、ピアの影響と学術的な整合性は利用を抑制する要因となることが示されました。また、学術的な整合性が時間節約、自尊心、知覚ストレスとChatGPTの利用との間に存在する関係性に影響を与え、特に時間節約、自尊心、知覚ストレスにおける学術的な整合性の調整効果が有意であることが判明しました。

  5. 本研究の有効性はどのように検証した?
    ・本研究では、702件の回答データを基に、学者がChatGPTを採用する動機となる要素とその採用行動との間の関係を解明して行きました。さまざまな要素がどのようにChatGPTの利用に影響を与えるのかを示す結果が得られ、これらの結果は学術機関や出版社、AI言語モデルのプログラマーなどのステークホルダーが、AIチャットボットの倫理的な使用に関するガイドラインを策定する参考になり得ます。

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