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KindMed: Knowledge-Induced Medicine Prescribing Network for Medication Recommendation

https://arxiv.org/abs/2310.14552

1 本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?

本研究の学術的背景は、電子健康記録(EHR)の広範な採用が、様々な臨床的な分析において活用される機会を提供していることです。EHRには、観察された医療コード間の情報的な関係を明らかにする標準化された医療オントロジーやウェブ上で編集された豊富な意味論の知識(例:医学的なコード間の関係を記述したもの)を取り入れることで、より包括的な洞察を得ることができます。

本研究の核心となる学術的な問いは、EHRのコホートに外部の知識を組み込むことで、知識を活用した医学的な処方ネットワークを作り、薬剤の推奨を行う方法を提案することです。

2 本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?

本研究の目的は、EHRのコホートに外部の知識を組み込むことにより、薬剤の推奨を行う新しいフレームワークであるKnowledge-Induced Medicine Prescribing Network (KindMed)を提案することです。このフレームワークでは、EHRコホートを医学的な知識グラフとして表現し、適切な埋め込みを抽出するための関係に関するグラフ表現学習を活用します。さらに、階層的なシーケンス学習を利用して、患者の過去の入院記録における臨床的および薬剤の時間的なダイナミクスを発見し、個別化された推奨を行うために統合します。

本研究の学術的な独自性と創造性は、外部の医学的知識を活用してEHRコホートを豊かな意味論を持つ医学的な知識グラフとしてモデル化し、個別化された薬剤推奨を行うことです。

3 本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?

本研究の着想は、EHRに含まれる医療エンティティ間の関係を考慮したアプローチが、健康情報学の分野で注目を集めていることから生まれました。具体的には、医療知識グラフとして知られるものが登場し、EHR内の医療エンティティ間の関係をモデル化するためにグラフニューラルネットワーク(GNN)が活用されています。

関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけでは、外部の知識を利用して薬剤推奨を行うグラフドリブンのモデルがいくつか考案されています。しかし、これらの先行研究では医学的なオントロジーや意味論的な関係を十分に取り入れることができていないという課題があります。本研究では、医学的なオントロジーや意味論的な関係を活用することで、より効果的な薬剤推奨を実現する新しいフレームワークを提案しています。

4 本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?

本研究では、外部の医学的知識を活用してEHRコホートに対して個別化された薬剤推奨を行うための手法を明らかにしました。具体的には、EHRコホートの各患者に対して、入院ごとに構築された個別の医学知識グラフを作成し、薬剤推奨に活用します。また、患者の過去の薬剤投与記録をモデル化するため、医療グラフ表現学習と階層的なシーケンス学習を組み合わせて利用しました。

また、新しいアテンション機構を備えた薬剤推奨モジュールを開発し、患者の過去の医療記録の概要と臨床状態の進行、最新の臨床状態を考慮しながら薬剤を推奨する手法を提案しました。

5 本研究の有効性はどのように検証した?

本研究では、MIMIC(-III & -IV)という実世界のEHRコホートを使用し、外部医学知識から抽出した関係を組み込んだ実験を行い、KindMedの効果を評価しました。

具体的には、推奨された薬剤の安全性、正確性、個別化の推奨精度に焦点を当てて評価を行いました。この評価により、KindMedは他のグラフドリブンの手法よりも優れたパフォーマンスを示すことがわかりました。

これにより、本研究の有効性を明らかにしました。

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