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AgeAnnoMO: a knowledgebase of multi-omics annotation for animal aging

  1. 本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」は?
    本研究の学術的背景は、老化は機能の徐々な低下を伴う現象であり、分子レベル、細胞レベル、全身レベルで相互に影響を及ぼす複数の要因によって引き起こされるとされています。この老化の根底にある共通の特徴には、分子、細胞、全身のレベルでの老化に関連するホールマークがあります。したがって、異なる種における老化ホールマークの機能と相互関係を理解することは、モデル生物から人間への抗加齢薬の開発の翻訳を容易にすることができます。本研究の研究課題の核心は、動物の老化に関するマルチオミクスアノテーションの知識ベース「AgeAnnoMO」の構築です。

  2. 本研究の目的および学術的独自性と創造性は?
    本研究の目的は、動物の老化に関連するマルチオミクスアノテーションの知識ベース「AgeAnnoMO」を構築することです。このデータベースは、老化と長寿の研究において包括的なリソースとなるよう、8つのモダリティからの136のデータセットを収集し、50の代表的な種からの8596のサンプルをカバーしています。これにより、異なる種や組織での老化プロセスの特異性を理解し、多様な人口に対する効果的な抗加齢介入の開発に重要な情報提供ができると期待されています。

  3. 本研究の着想に至った経緯や、関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?
    本研究の着想は、モデル生物における老化研究の重要性とその成果が人間の老化にも関連していることから生じました。例えば、タンパク質キナーゼのmTORの活性化は、酵母、線虫、ハエ、マウス、サル、人間など、複数の種における老化プロセスの細胞代謝調節について保存されていることが示されています。酵母におけるTOR経路をターゲットとすることで、Rapamycinの寿命延長効果が発見され、モデル生物での広範な実験が行われ、Rapamycinが抗加齢戦略として有望であることが示されたという経緯があります。また、マウスや非人類霊長類の研究では、腸内細菌叢の組成とmTORと寿命の関係、すなわち腸内細菌叢がmTOR経路を介して寿命に影響を与えることが示されました。これらの成果は、モデル生物から人間への抗加齢薬の開発のために老化因子の調節と種間の関係を理解することの重要性を示しています。

  4. 本研究で何をどのように、どこまで明らかにした?
    本研究では、動物の老化に関連するマルチオミクスのデータベース「AgeAnnoMO」を構築しました。現在のバージョンでは、50の種、61の組織、8596のサンプル、1,044,141の細胞を含む136のデータセットが収録されています。このデータベースでは、老化ホールマークに関連する遺伝子、タンパク質、代謝物、ミトコンドリアの遺伝子、微生物叢、老化ホールマークに関連する年齢特異的なTCRおよびBCR配列など、複数のレベルで老化関連の要素を包括的にアノテーションしています。さらに、以前のデータベースや研究に基づいて老化ホールマーク間の統合の可能性も提供しています。これにより、異なるレベルでの種間の保存されたおよび特異的な老化関連の変化を体系的に研究するための有用な情報提供が行われています。

  5. 本研究の有効性はどのように検証した?
    本研究では、構築したデータベース「AgeAnnoMO」が老化生物学における共通のホールマークの理解とターゲットとなる老化バイオマーカーの同定に有用であることを示しています。また、本研究では、既存のデータベースや研究からの情報の統合も行われており、より総合的な老化メカニズムの理解に貢献しています。これにより、抗加齢薬の開発や老化研究におけるターゲットバイオマーカーの同定に寄与することが期待されています。

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