劇場の復活と共感性羞恥

わたしの趣味はいうまでもなく「舞台観劇」なのですが、
少し前までは舞台公演が全く上演されない状況がありました。

外出自粛が緩和され、やっと劇場が再開して、
多くの舞台に足を運ぶことができるようになりました。

Instagram(@sue_stagenote)で、観たものは感想も含め更新しているのですが、
noteにも少し思うところを書き記しておこうと思いました。
また、そこから演劇を見ているときに感じる
自分の感情の揺れ動きだったり、感覚を、ただ記録しておこうと思います。

真っ先に観に行った作品

早速、外出自粛が開けて、チケットが販売になったので、
高ぶる気持ちを抑えながら購入ボタンを押して、
劇場で観た作品はと言うと、

・ボーイズ・イン・ザ・バンド @Bunkamuraシアターコクーン ×1公演
・JERSEY BOYS  IN CONCERT @帝国劇場 ×1公演
・ゲルニカ @渋谷パルコ劇場 ×3公演
・VOICARION ~信長の犬~ @帝国劇場 ×2公演
・フラッシュダンス @日本青年館ホール ×2公演

とまあこれだけ見ると
何のオタクなのかが一目瞭然。。。

劇場では感染症対策として、入場口に並ぶところから厳戒体制で、

靴の裏の消毒
体温を測る(非接触型の体温計や、サーモグラフィーのモニターとか)
チケットは自分でもぎって箱に入れる
席は1席ずつ飛ばして座るので、前後左右が空いている
最前列〜3列目くらいまではフェイスシールド、もしくは空席
トイレに並ぶのも必ず間隔をあける
物販はオンラインかパンフレットのみ
緊急連絡先の記入
幕間の休憩を20分以上設ける(混雑回避のため)
退場は座席ごとに区切って整列退場

※様々な劇場での対策をまとめてます

と言ったようなことが、できる限り守られるように
劇場さんがしっかりと案内してくれました。

まずこの努力が相当大変なものだし、
頭が上がらない気持ちでいっぱいになります。
(わずかながら経験した身から言うと、これだけ約束事があって、
その上で人を動かすのは難しいものなので・・・)

そこから劇場が再開したことの喜びとかありがたみを
ひしひしと感じて、劇場にいて指定の座席に座っているという行為がすでに
自分の中で尊いものになっていました。

幕が開いた瞬間に涙が溢れる。
こうして幕が開くことが、キャストスタッフの皆さんが
努力した上に成り立っていて
私たちが作品を楽しむことができる。
この事実だけで、大袈裟でなく生きていてよかったと思えるし、
少し前までは当たり前のようにできていたことが、
急に制限されできなくなってしまって、
それが復活したという嬉しさで胸がいっぱいでした。
最近は、どの作品を観てもそう思います。
特にフラッシュダンスなんかは、アレックスが自転車を止めてヘッドフォンをして、ラジカセ(?)をONにした瞬間に、
音楽が響いて、気持ち良さそうに踊り出すあの開放感が、
今まで我慢していたものを解き放つ感覚に似ていて、何だか清々しくて、
涙が止まらなかったのを覚えている・・・

ゲルニカを観た時、当たり前だった幸せな当たり障りのない日常が、
急になくなって、それがしばしば人の手で奪われてしまうことが、
昔話ではなく、現代にだって形を変えて起こり得る、
それはどれだけ時間が経っても全く同じ可能性だってことを
心に焼き付けることができました。

いつだっていろんな作品に触れると、気づきがたくさんあって、
キャストの方々の迫真さだったり情熱に心動かされる。
この楽しみが全くなかった3ヶ月間は本当に辛かった。
配信といえど、この生の感情に勝てるものなんてないから。

徐々に色々な劇場で演劇が再開されて、
もう少し足を伸ばしたいところでもあるのですが、
いろんな事情で観れなかった作品がたくさんある。
少しずつ観る作品数を増やしていきたいな。
ただ公演日がかぶったりでチケット取れなかったりもしているんですが。。


「配信」と「劇場」

今後はたくさん「配信」と「劇場」の2種類で公演される演劇作品が
増えていくだろうなと思うのですが、
正直、私は配信で観る演劇に苦手意識がある。
確かに、(物理的に)簡単に劇場に来られない方々にとっては
とっても画期的なものだと思うのですが、
配信で観る演劇は、何だか集中できないと言うか・・・
これは私個人の問題でもあるのですが、画面の中の映像に集中することが
苦手で、できないんですよね。

映画やテレビドラマがあんまり得意じゃないのと同じで、
何だか画面の中で起きていることって、
どうしても話の中に入っていけなくて、
変なところに(物語とは全く違うところに)意識がいく感覚があります。

ただ、これはある「物語」が上演されているときに限るのです。
配信の「バラエティ番組」や「ライブ映像」であれば全く抵抗がない。
むしろ楽しんで見ることができるのです。
ただ「映画」や「ドラマ」になると途端に目を伏せたくなる。
物語を見ていて、これ以上は何だか恥ずかしくて見てられない、
そんな感覚が起きるようになりました。

私が感じる、映像と演劇の感覚の違いは何だろう、、、

外出自粛真っ最中の時に友人とやったリモート飲み。
同じような界隈の趣味なので、とにかくダラダラと話し続けて、
たまたま「共感性羞恥」の話になりました。

「共感性羞恥」と言うのは、

共感性羞恥とは、人が恥をかくような場面を見たときに、まるで自分が恥をかいているように感じてしまう心理的な状態のこと

だそうなのですが、まさにそれ。。
告白されて振られて、でもすれ違って・・・みたいな恋愛ドラマとか、
失敗をたくさん経験して這い上がってくタイプのサクセスストーリーとか
結構苦手だったりする。
このあと絶対怒られるやつじゃん!みたいなものとかほんとにダメ。
「あぁ、もう、ごめんなさいごめんなさい」と思いながらTVを消す。
(某大ヒットドラマ「日曜劇場 半*直*」 とかも絶対見れない。)

この話をしていて凄く自分の感情の説明をしやすくなったと言うか。
自分の中でも納得いくようになった。
ずっと、何でテレビとか映画とか得意じゃないんだろうなぁ?
と考え続けていたし、本当はもっと楽しんでみたい気持ちもあるけど、
何回チャレンジしても気持ちが悪くて、モヤモヤしてた。

ただこの共感性羞恥が、劇場に行って演劇を見るとなると、
全く感じなくなる不思議。
これは「共感性羞恥」とは別のなにかなのだろうか。
逆に登場人物に強く共感すると言うよりは、
物語自体を俯瞰してみることが、
劇場ではできるようになっているのかな。
いい意味で入り込んでいないと言うか、
物語を楽しめるちょうどいい位置にいるような。

もうかれこれ8年くらいは舞台をいろいろ観てきたのですが
だんだんと自分がどうやって楽しんでいるのかわかってきたような気がします。

自分が好んで観にいくもの、お誘いを受けて観にいくもの、
特に後者は、自分じゃ選ばなかっただろうなぁと思う作品を、
積極的にみることで、新たな発見があって嬉しいです。

これからもそうやって楽しい観劇生活を、
気軽に送れることを楽しみにしているし、
改めてそれがないと人生の楽しみが全くないなと感じました。

ちなみに今後の観劇予定はこちらです。

・人類史 @KAAT
・35MM: A MUSICAL EXHIBITION @赤坂ACT
・オレステスとピュラデス @KAAT
・RENT @シアタークリエ
※チケット取れてないのもあるので願望も含め

残すところ年内もあと3ヶ月を切ったので、
もっともっといろんなものに触れていきたいと思います。

とりあえず今日は記録的に書き殴ってみました。



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