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イギリス文化を通して、英語を学ぶ意味を考える

こんにちは。大阪大学法学部国際公共政策学科1年の金澤優里です。

ここ数年はコロナの影響で、海外に行く機会はめっきり減ってしまいました。しかし、最近、出入国の規制が徐々に緩和されており、コロナ流行前のように海外旅行を楽しめる日もそう遠くないと思います。皆さんは、行きたいと思っている国や地域はありますか?

私は、イギリスに行ってみたいです。そう思うきっかけとなったのが、今回インタビューさせていただいた大阪大谷大学人間社会学部(大阪大学マルチリンガル教育センター非常勤講師)の服部慶子先生の英語の授業です。服部先生は、イギリス文学を研究しておられ、私が受講している英語の授業では、イギリスに関する興味深い話をたくさん教えてくださっています。今回は、服部先生が大学教員になるまでのお話や、英語やイギリスについてのお話をインタビューしましたので、その内容をご紹介します。

1.研究している分野と教員をめざしたきっかけ


服部先生が、イギリスや英語に興味を持ったきっかけは何ですか?
一番初めのきっかけは、幼稚園か小学校1年生の頃に、「名作文学全集」のなかで母親がたった一冊買ってくれた「小公女」を読んだことです。昔は、ビデオもなく、テレビは白黒で録画もできない、というように情報が限られていましたので、文字を読んだりイラストを見たりして「イギリスはどんな国なのだろうか」と想像していました。それで、ロンドンという地名やイギリスという国が私の印象に残ったんですね。

また、私は、国際都市といわれる岡山県の倉敷市出身です。私が通った高校から歩いて10分ほどのところに、世界の有名な絵画が集まる大原美術館があり、その横にアイビースクエアというレンガ造りのおしゃれな建物がありました。高校の時に、ヨーロッパ風の建物や、美術館が所蔵する世界の本物の絵画に触れて、ヨーロッパにあこがれるようになりました。

小学校の頃は勉強が得意な方ではなかったのですが、中学校で初めて習った英語が、とても面白くて大好きになりました。そして、英語につられて世界の歴史も面白いなというように感じて教養が培われていきました。

教員を職業にしようと思ったのはなぜですか?
私は、今の大阪大学外国語学部(当時、大阪外国語大学)の英語科出身です。3年生の時に、ゼミで出会った先生がイギリスの詩を専門にしていらっしゃる方だったんです。そこで、英詩を読んですごく面白いと感じて、もっと文学を読みたいと思い、その先生が勧めてくださった大阪大学文学部の大学院(文学研究科)に進むことにしました。大学院では、文学の授業が多く、学部生時代に培った英語の基礎力をいかして英詩を読むことがとても楽しかったです。その後、院の先生に勧められた大学に教員として就職することになりました。振り返ってみると偶然教員になったとも感じていますが、その場、その場で自分が選んだことが今につながっているのだと思います。また、昔は人前で話すのが苦手だったのですが、教師というのは必ず人前で話さなければならない仕事ですよね。こうやって教員になったということは、人前でしゃべれないことを克服したいという願いが無意識のうちにあったのかなとも思いますね。

教員になってよかったと思うときはどんなときですか?
授業の時に学生さんに書いてもらっているコメントシートを読むときです。私がうれしくなるようなことを書いてくれると、とても励みになりますね。あとは、昨年度まで2年間、リモート授業だったので、教えている実感があまりなかったのですが、今年度は大学で対面授業をできて、学生と直接会って授業をできるのがうれしいなと心から思います。

2.イギリスの文化について


イギリスの文化で興味深いと思ったものはありますか?
オックスフォード大学の客員研究員として、1年間イギリスに行ったとき、子供が2人いました。2人を学校に通わせていたのですが、娘が通った小学校は「小公女」の物語の世界のような優雅な私立の女子校でした。一方、息子は公立の学校に通っていました。日本に帰ってきて、近所に住むイギリス人に会いに行くと、子供たちの英語を聞いて二人がそれぞれイギリスで通っていた学校(私立と公立)を言い当てられました。「マイ・フェア・レディ」という映画で、言語学者のヒギンズ教授が、誰かがしゃべるのを聞いただけで出身地とか階級を言い当ててしまうという場面があります。私は、それが物語の中だけの話かと思っていたのですが、一般のイギリス人は少し話すだけで、その人の出身や階級を判別できるという点が興味深いなと思いました。

大学生に訪れてほしいイギリスのおすすめの場所はありますか?
ハリーポッターの撮影地でもあるオックスフォード大学は、留学はもちろんのこと、観光でも行ってほしいし、語学研修の場としてもおすすめです。

オックスフォード大学 図書館 ラドフリク・カメラ

また、観光地としては、セント・マイケルズ・マウントも、フランスの有名な観光地であるモン・サン=ミッシェルとよく似たいい景色を味わえると思います。

3.学生へ向けてのメッセージ


大学生が英語を学んでいくうえで大切なことは何だと思いますか?
文学などいろいろなものを読むことは大切ですが、英語は言葉なので、英語を介して人とつながることができます。現代では「AIや自動翻訳があるから英語を勉強しなくてもコミュニケーションできる」と言われていますが、やはり自分の言葉で伝わるとすごくうれしいです。私が初めてイギリスに行ったとき、ホームステイ先の方や、出会った人と自分の英語で話を楽しめたのがすごく楽しかったです。英語を話す人は、現在二十何億といるので、お互い母国語じゃなくても、英語を使って様々な国の人と話すことができます。英語ができることによって世界が広がるということです。

また、大学の授業では、単位やテストに気を取られて難しいかもしれませんが、少しでも大学生の皆さんには、英語を楽しんでほしいなと思います。大阪大学にも多言語カフェがあると思うので、そのような場で留学生の方と交流を持ったらいいと思いますね。課題があるから、授業だから、ではなく、自分の中から湧き上がってくる動機がある場合は、とても英語が上達すると思います。このように科目として勉強するだけでなく、モチベーションを高めて学習していくと効果が上がります。

大学生活で、しておいたほうがいいことはありますか?
時間がないなと感じている学生さんは多いかもしれませんし、私も当時はそう感じていましたが、社会人になってみると大学生は自由な時間が多いです。その自由な時間で、本をたくさん読むとよいと思います。最近はビジュアルな情報が容易に手に入ります。とても便利ではありますが、文字を読んでそこからいろいろ想像する機会が減っています。そして、学生の時というのは脳みそがスポンジのようにいろいろなことを吸収できる貴重な時期でもあります。私は当時、外国語に関係ない日本史の本も読みました。今読んでも頭に入ってきにくいと思いますが、大河ドラマを見ていると、学生の時に読んだことがらが思い出されます。若い時に読んだ本というのは一生記憶に残るようです。本をたくさん読んで、文字から何かを想像するというイマジネーションを育むことはとても大切だと思います。そのイマジネーションというのは、対人関係においても大事で、(例えば)悲しみなどの人の気持ちは想像するしかありませんよね。周りの人の悲しみや苦しみを実感することはできませんが、その人の立場にたって想像することはできます。それが、異文化理解とも重なってきます。想像力は人とのかかわりの中で育むことができますが、本を読んで培うというのも大切だと考えています。

4.終わりに


私は、英語があまり得意ではなく、やる気もあまり出せないでいたのですが、今回のお話を聞いて英語を学ぶことの大切さや良さを改めて実感し、英語学習のモチベーションが上がりました。大学4年間は自由に時間を使えるかけがえのない期間だとわかったので、本を読んで幅広い知識を身につけていきたいと感じました。

最後になりましたが、服部先生、貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。

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