見出し画像

こんにちは。外国語学部英語専攻1年の甲上史花です。

突然ですが皆さん、英文学に興味はありますか?
私の場合、英文学はどちらかといえば苦手なのですが、高校の時にチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』の略本を読んだことがあります。この作品がとても面白かったため、それ以来ディケンズの作品に興味を持ち、他の作品も略本で読むようになりました。

そこで、今回はイギリス文学を研究されている畑田美緒先生にインタビューにご協力いただき、研究や阪大について、詳しく教えていただきました。

―まず、先生の研究内容の紹介をお願いします。
私の研究分野はイギリス文学です。19世紀のイギリス文学、特にチャールズ・ディケンズの作品を通して、当時の社会的弱者の扱われ方について研究しています。例えば男性の場合、当時は男性社会ですから、子供の頃は社会的弱者として扱われるものの、中年時には強者側となり、老年期になると再び弱者として扱われるようになります。このような一生の扱われ方の波をディケンズの人生と重ねつつ研究しています。ディケンズ自身が貧しい家庭で生まれたため、作品ごとで批判する対象は異なるものの、ディケンズの作品には法律改正や救貧法など社会全体に訴えかけているものが多いです。

―研究を始めたきっかけを教えてください。
元々本が好きだったのですが、きっかけとなったのは高校の時に読んだディケンズの『大いなる遺産』の訳本です。とても感動して衝撃を受け、英語も好きだったのでイギリス文学を学ぶために大阪外国語大学に入学しました。大学在学中にたくさんの本を読んでみたものの、『大いなる遺産』の感動を上回る作品と出会うことができなかったので、卒業論文で『大いなる遺産』について書きました。しかし、それでもまだまだ物足りないと感じ、研究をしたいと思いました。

―研究をしていて興味深いことは何ですか。
同じ作品を読んでも、新たな発見がたくさんあることです。前回作品を読んだ時から繰り返し読むまでにいろいろな経験とか考え方を他の作品から吸収しているわけで、その経験を得てから読んだ作品は同じ作品でも以前とは違うように見えます。以前とは異なった考え方や見方が何通りもできるところが面白いです。


―研究をしていて難しいことは何ですか。
作品を読んでいく中で一部面白いところがあった場合、その部分をどのように研究につなげていくのかを考えることが難しいですね。私は思い付きで研究が終わらないことが大切だと思っています。だから、研究を広げていくために証拠を調べたり、作品を読み直して新しい証言を探したりするようにしていますが、苦戦するときがあります。

―阪大の良い点を教えてください。
阪大全体でいうと難しいですが、外国語学部に関して言うと、外大時代と比べて生徒の興味の幅が広がっているところですね。外大時代はやっぱり語学に興味がある人が集まっていたけれど、阪大になってからは国際政治など、語学+何かに興味関心がある人が多くなりました。これに加えて、より指導体制が整い、教育の幅が広くなったことも魅力的だと思います。

―教員として大変なところはありますか?
大変とは少し異なるかもしれませんが、学生との接し方が少し難しく感じますね。大学生はある程度大人なので、大人として扱いたいけれど、場合によっては大人として扱えない時があります。どこまで大人として扱っていいのか、どこまで学生として扱うべきなのか、という塩梅が難しいです。

―学生に期待することは何ですか。
大学生は課題をやるだけでは足りなくて、与えられた課題をどれだけ広げて、自分のやりたいことを見つけて、どの様に考えていくかが一番大事だと思うんです。だから、そのきっかけとしてイギリス文学を読んでくれたらと思います。文学を読むことは実際に役立つものではないかもしれないけれど、「人間について知る」という哲学的な側面があります。だから、私の講義を取ってくれた学生には、人間とは一体何なのかということを一緒に考えてほしい。このようなことを通して、学生には考えることが楽しいと感じてもらえればと思います。

終わりに
いかがでしたか?
私は冒頭でも述べたように英文学があまり得意ではありません。その理由は英文学の楽しさがまだ分かっていないからだ、と今回のインタビューを通して感じました。以前よりも経験を積んでいる今なら新しい考え方ができて英文学の楽しさが少しでもわかるのではないかと思います。皆さんもこの記事を読んで英文学に少しでも興味をもってくれたらうれしいです。

最後になりましたが、畑田先生、貴重なお話をして頂きありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?