見出し画像

 はじめまして、大阪大学工学部応用理工学科1年の西岡です。

 突然ですが、「なりたい職業ランキング」で、ほとんどの年にランクインしている職業をご存知でしょうか?

 会社員、医師、スポーツ選手など毎年ランクインしている職業はいくつかありますが…今回焦点を当てるのはズバリ!「教師」です。僕は教師を目指していて、現在大阪大学で教職の授業を受けています。今回授業の一環で阪大の教授にインタビューをするということで、僕が授業を受けている「特別活動・総合的な学習論」の佐藤功先生にお話をお聞きしました。

 本記事では、特別活動・総合的な学習論の授業の内容と、その授業を担当されている佐藤功先生へのインタビューの内容をご紹介します。

「特別活動・総合的な学習論」とは?

 インタビューの内容の前に、みなさんにとって「特別活動・総合的な学習論」の授業は身近なものではなく、授業内容が想像できないと思います。そこでまず授業内容を少し紹介します。
 主に学ぶことは「特別活動について」「総合的な学習について」の2つです。特別活動とは、体育祭や文化祭といった学校行事から避難訓練や薬物禁止教室などのホームルーム活動の他、生徒会活動、クラブ活動など幅広い活動を含みます。一方で、総合的な学習は2022年度から”総合的な探究の時間”という名前に改変されて実施されています。これは、いわゆる探究の授業で、自己の在り方・生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していく授業になります。「特別活動・総合的な学習論」では、「特別活動はおもしろい」ということを前提として学生がグループに分かれて、テーマに沿った模擬授業を一から作り、行うという形の実践教育を行います。

 春夏学期を通して、1人2回模擬授業を実施するのですが、僕は「班の人の名前が覚えられる授業」と「教師主導のホームルーム」というテーマの模擬授業を行いました。「班の人の名前が覚えられる授業」ではアキネーターというゲームを元にしたもので、班員が「名前のイニシャルはNですか」などの質問をし、名前を当ててもらう人がはい、またはいいえで答え時間内に名前を当てるゲームをしました。その人の名前を数分間考えることで記憶に定着しやすいだろうという考えのもとゲームの案から授業の流れまで全てを一から考えました。20分の授業を一から作った経験がないので、最初は苦戦しましたが、グループメンバーと助け合い、模擬授業を作り上げることで仲が深まりました。また全てのグループの模擬授業が楽しいので、90分があっという間に過ぎて楽しく学べました。

 ここからは、その授業を担当している佐藤功先生へのインタビューの内容をご紹介します!

▲佐藤功先生

1.なぜ大阪大学で教職について、教えることになったのでしょうか?

 大阪大学は旧帝大の中で教職をとる学生の人数が一番多く、毎年200名ほどが教職をとっています。一方で他の旧帝大や大阪市立大学では毎年70人~100人ほどとなっています。しかし、以前はその人数に対応する教員の体制ができていませんでした。組織としてやっていくためには教職を専門とする教授が必要ということでポストができ、声をかけていただきました。2003年頃に高校の教員をやっていた時に、2年間休職をして社会人入学で大阪大学の大学院に教育学の勉強をしにきたのですが、その当時お世話になっていた先生が教職を担当されていたこともあり、その縁で2004年から特別活動論を教えることになりました。その後文部科学省から大学で総合的な学習の時間に関する授業をするようにと通達され、特別活動・総合的な学習論という授業に名前を変え、総合的な学習についても教えるようになりました。

2.2020年からのコロナ禍でオンライン授業を行なったと思いますが、オンライン授業と対面授業ではどちらの方がよかったでしょうか?

 僕が担当している「特別活動・総合的な学習論」という授業では、知らない学生同士が集まって仲良くなり、1つの授業を作るという授業になっていて、いわば密な状況を作ることが不可欠な授業になっています。それがコロナの影響で密な状況を避けるようにと言われ、オンライン授業を行わなければならなくなり絶望を感じました。コロナが早く終息しないと以前の授業形態に戻すことはできないと思ったので、初年度は「今年は特別活動・総合的な学習論の授業を履修しても例年のような面白い授業にはできないので、今年は履修せず来年履修してほしい」と言いました。

 これまでオンライン授業を行ったことがなかったのですが、わからないことがあれば、小さい頃からスマホなどを使っていて、パソコンやスマホを使い慣れている学生に聞いたりして授業を行いました。またコロナの影響で学生同士が仲良くなる機会が減っていたので、以前は模擬授業を通して行えていた人と人が関わり仲良くなれることをテーマとした授業を行うようにしました。

 授業の目標や特別活動はおもしろいという前提は以前とまったく変わらず、授業方法が変わっただけでオンラインにはオンラインのよさがあり、オンラインで授業することもありかなと思いました。実際に今までならゲストの人に話を聞く場合日程を調整して来ていただいていたのですが、今ではzoomでお話を伺ったり、録画していた講演を流したり、と以前とは違った方法でかつ簡単に外部の講師に委託することができるようになったことなどはオンライン授業の利点かなと思います。コロナ禍でのオンライン授業は、忙しくて手を出しづらかった分野に手を出さざるを得ない状況を作り出しましたが、それがいいきっかけになったので、対面とオンラインの優劣をつけることはできないかなと思います。今後コロナでの規制が緩和されても対面授業をベースとしてオンライン授業を数回行おうと思います。

3.教員を目指す学生にアドバイスをお願いします!

 教員になった時に一定の知識や大学の教職で学んだことがベースとしてあり、その内容が活かせることがあるが、実際に生徒と話したり、質問に答えたりする時には、これまでの経験をもとに話をすることができるので、学生のうちに多くの経験をしたらいいと思います。成功体験だけではなくて、失敗の体験も必要で、失敗談こそ生徒たちに響くのでいろいろなことにチャレンジをして、その経験を生徒に伝えられる教員になってください。

〜インタビューを終えて〜

 普段、教授のお話を伺える機会がないので貴重な時間をいただけてよかったです。特に、オンライン授業をせざるを得なくなったことをマイナスと捉えず、新しい取り組みを行う絶好の機会と捉える「発想の転換」は、学びになりました。また、大学は教職をとっていると授業が多くなり忙しいことや通学に2時間ほどかかることを理由に色々なことにチャレンジするのを億劫に感じていたのですが、サークルや部活などの課外活動やボランティア、アルバイトなど多くのことにチャレンジしてみたいと思いました。また完璧を求めるのではなく失敗しながらも最後に成功することで教員になった時に失敗体験も語れて、なおかつ成功までのプロセスも話せるので失敗を恐れず積極的に行動しようと思いました。

最後に……

 今回お話を伺った佐藤先生は、大阪大学×愛媛大学×愛媛県西伊予市野村町の地域の方々がコラボしたまちづくり活動に関わり、「緒方洪庵」という復興支援酒の醸造販売もおこなっていらっしゃいます。「緒方洪庵」はこのたび大阪大学の公式グッズとなり、吹田の生協でも売っています。僕はまだ19歳でお酒を飲めないのですが20歳になってから1度は飲んでみたいと思います!気になる方はぜひ下のページをクリックして見てみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?