日常に”場”がある風景の価値

今日の半田は、知多半田駅前を中心にいくつかの別々の主体による場づくりがあり、どこも大盛況でした。
また、市役所内でも私が主催する市庁舎内の関係者だれでも参加OKの「第2回ゆるまちトーク」を開催。こちらもあちこちの部署から地域に対して意欲的な職員が集まり有意義な場になりました。

○○と語る会

半田市内で農業を営む若手農家がクラシティ1階フロアにて車座となり、出入り自由な一般のギャラリーが見守る中、プレゼンテーションや意見交換を行いました。

農家の円卓を市民や通りがかりの人が眺めて耳を傾けていました

私と同じ時期に半田市役所に民間人材登用された中野公雄6次化マネージャーと職員が農家とともに実現した「場づくり」でした。

いつもハンチングをかぶっている中野6次化マネージャー


半田市に、こんなユニークな農家があるのか。
農業を営む発表者の思いや人間味。
本当は近所にあるはずなのに意識していなかった市内農業と、その産品の質の良さが伝わってくる場でした。
乙川のブドウ農家、JEWELRY GRAPEさんは夕方から開催の知多半田駅前のストリートテラスでも、とっても甘い、乙川産の社員マスカットを販売していました。
半田、知多の生産地と半田の中心市街地。ファーマーズマーケットなどあったらいいなあ、なんて、勝手に場の拡大イメージを持った次第。

半田市役所「第2回ゆるまちトーク」

とかく縦割りになりがちなまちの活性化への取り組み。
実際は、多様な目的をまちなかに作っていく必要があるので、中心市街地活性化にはあらゆる部署が関わってきます。
そんな縦割りの状況から脱して、市役所内の人材がより活性化に理解を深めつつ、アイデアを発散、場合によっては実践チャレンジできるように始めたのが「ゆるまちトーク」です。
今日は、中心市街地活性化の進捗状況を共有した後、
「半田市中心市街地のにぎわいって何?」
についてグループディスカッション。

若手から管理職までフラットに話し合うのがルールのゆるまちトーク

地域福祉課からは、独自に取り組んでいる中心市街地での子供たちとのまち歩きの取り組みについて紹介がありました。
今後、ゆるまちトークの中でもまちあるきをして、まちの中への理解だけではなく、それぞれの部署で、あるいは連携してできることを考えていければと思います。

社会福祉協議会さん主催「円卓会議」

6年間休止されていた、社協さんによる市民・事業者自由参加の知多半田駅前円卓会議が今日、クラシティ1階フロアで解放的に復活しました。
今日は「半田の子供の今」についてのテーマを日本福祉大学の野尻先生の進行で行われました。スピーカー4人を取り囲む円は2重3重となり、車いすのかたなど多様な方が参加して意見交換で盛り上がっているのが印象的でした。

18時からこんなにたくさん自主参加。通りがかりの子連れママさんも参加してくれました

半田市は市民活動が盛んで、その意識は間違いなく自慢できることです。さらには参加者は半田市内からだけではなく、近隣地域からも来られており、学生から議員さんまで多様な参加者たちがフラットに話し合って盛り上がっている様子が印象的でした。
今日は打ち合わせが長引き、最初から円卓には入れませんでしたが、次回からはできるだけ中に入って一緒に話したい、と思いました。3か月に1回くらいを目途に続けていくそう。

知多半田駅前半田ストリートテラス

駅前ロータリーは有効に活用されているとは言えません。広い歩道もしかり。その使い方を考えるために続けられている民間主導の取り組みが、半田ストリートテラスです。
今回は、夏の夜の時間帯をメインに、しかも火曜日から金曜日までなんと4日間も続けていこうという大実験。

いつも暗い知多半田駅前ロータリーに活気がありました

非日常より日常化を目指していく取り組みの中で、普段は19時には暗くなる駅前にかわいらしい提灯をぶら下げた屋台やキッチンカーが並び、親ときている子供たちの楽しげな声が響き、帰宅客が画像を撮ったり、買い物したり…
とても楽し気な風景が広がっていました。
反面、準備に連日関わってきたスタッフは楽しそうでもヘロヘロでしたが…このあたりは、特定のメンバーたちに負担がかかり続けないようにする工夫が課題と感じた次第。

4つの場づくりのすばらしさ

今日行われた場づくり。
特に、まちなかで行われた3つの催しの素晴らしいと感じたポイントは二つ。
『多様であること』
『見えること』
『出入り自由であること』
です。
これは、まちづくりにとって、とかく日本社会では行われてきていないことでした。
しかし、右肩上がり、税収も所得も右肩上がりではない、右肩下がりの社会のまちづくり手法として欠かせない前提条件です。
それは、自分たちで自分たちの暮らしと日常の豊かさをつくる時代にあるからです。

魅力的な場は、主体的な人がより主体的になる

形式だけの場。
アリバイ作りのための何にもつながらないワークショップ。
社会の人々はもう、辟易として疲弊し、期待すらしていません。
ましてや、そういう場づくりをする側も、疲弊していたりします。
そんな場づくりをしている時間的な猶予は、日本社会にはありません。
一方で、陳情や要求型の場づくりは、右肩上がりの時代の話。

魅力的な場、テーマが明確で、社会性を持つ場づくりは必然的に日頃から関心を持っていたり、行動を起こしている人たちが集まります。
それらの人々は時に必要な連携をしたり、科学反応を起こしたりします。
なによりも、プレイヤーの巻き込みと発掘を促進します。
誰かがやる、ではなく、自分がしたい!
そんな動機をはぐくみ、後押しできる場づくりはまちを魅力的にし、活性化に結び付いていくのです。
特別なことをするのではない、自分の思いを行動で実現していく。その積み重ねの多さこそが、その地域にとっての活性化の実力です。

場づくり、参加者への期待

今日、場づくりの中で参加者の発言がありました。
「高齢者の方と接した時、”自分たちは20年後に生きているかわからない、あなたたちの時代だ”と言われた」
「”昔のことはたくさん話せる。でも、未来のことは話せない。元に戻るよりも、これからのことを考えて”と高齢者の方から言われた」

これは本当に大切なポイントだと思うとともに、そういう発言をできる恒例の市民がおられることも心強いことに感じます。
まちづくりは、20年スパンです。10歳の子供たちが大学を出て地域外に出て、やはり育った半田がいいと戻ってくるのは30歳の時。
その時に責任をしっかり持てるのは、今から20年後も現役である20代や30代の若手年代です。
かくいう私は47歳ですが、もはや、自分が主役世代と思っていません。
20代、30代の主体的な人材に手を引き背中を押す立場だと理解しています。
私たちベテラン年代は、若手の足を引っ張るのではなく、手を引っ張り、背中を押す役回りです。

半田市中心市街地活性化でも、場を作っていきます

中心市街地活性化の推進は、閉ざされた空間での未来予想図や計画づくりではないと考えています。
たたき台や、場づくりできるための準備は入念にしかしかなりの速度感で進めているところですが、今年の秋以降は、中心市街地の将来像を多様で主体的な参加者で描いていく場づくりを進めていきます。
それとともに、中心市街地の特に知多半田エリアの空間等を活用した日常的に来られる場を仕掛けていくつもりです。

低未利用地の余白が多いのは、強みでありチャンスに変えられることです

5年後は、日常的に多様な場づくりが行われているまちにしたい

市民意識が高く、市民活動が多い半田市。
5年後には、日常的にまちなかのあちらこちらで自分たちの楽しみや豊かさをつくる場づくりや思い思いの開放的な車座・円卓会議の光景がみられるまちになっていたらいいな、などと妄想しています。

半田市乙川産のシャインマスカット。甘かった!

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