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「荒川十太夫」@歌舞伎座 行ってきました。

今日は歌舞伎座の一幕見席で、
「荒川十太夫」
を観てきました。

今月観た演目で1番好きです!
来週また一幕見で観ます。

今日はそのお話です。



あらすじ


前提

荒川十太夫は、赤穂義士の一人である堀部安兵衛の介錯人を勤めた実在の人物です。
※介錯人とは、切腹するときに、切腹する人が自分の腹を刺したすぐあとに、背後から首を斬る役目の人を言います。これは、切腹する人を即死させてその負担と苦痛を軽減するためと言われています。

今回の演目は、
荒川十太夫を取り上げた講談をベースに作られた新作歌舞伎の再演です。


あらすじ

現代風にあらすじをご紹介します。
正確な用語での説明は、こちらを。


お話は、荒川十太夫が赤穂義士の7回忌の命日に、
墓所の泉岳寺にお参りした帰り道、
勤め先の偉い人(杉田五左衛門)に遭遇するところから始まります。
その時の荒川十太夫の格好が問題になるのです。

実は、荒川十太夫は、
勤め先での役職は低く、
武士の決まりとしては、
その役職に合う身なりでないといけないのですが、
諸般の事情があり(これがこのお話の肝です)、
自分の役職より遥かに偉い人がする格好をしていました。

遭遇した偉い人(杉田五左衛門)から、
「お前は、なぜ、勤め先での役職と合わない格好をしているのだ?武士が役職を偽るのは大罪だ!」
と咎められたことがお話の発端です。

その夜、勤め先の1番偉い人である松平隠岐守から、
「私はお前がそんなことをする悪いやつとは思えない。理由を話せ。」
と直々に言われ、
荒川十太夫は、「実は、、」
と介錯人を勤めた日の回想とともに理由を話す。

というのがあらすじです。

ネタバレするとつまらないと思うので、結末は歌舞伎座でお確かめください。
(なお、今月の筋書きには、結末が書いてあります。。)


感想→観ないともったいない

私は、今月の歌舞伎座演目では、
荒川十太夫が1番好きです!

昨日観た、娘道成寺ももちろんよかったのですが、
人間ドラマとしてのこちらは、
格別です。

物事の一つの側面ばかりを見ずに、
全体を見て、
しっかり考えないといけないなと思わされました。

あらすじだと物語が重たそうに思えるかもしれませんが、
観たあとに、
爽やかなすっきりした気持ちになり、
人としての道としての正しさ
を考えなければいけないなと、
柄にもなく思いつつ、歌舞伎座を出ました。

また、役者で言えば、
尾上松緑さんと坂東亀蔵さんの掛け合いが見事で、
観ていて引き込まれました。
市川猿弥さんの和尚さんは、重くなりがちなお話にちょっとした笑いを入れてくださり、素敵でした。

新年始まったばかりの今だからこそ、
いろんな人にぜひ見て欲しいです。

一幕見席、割りと空いていて、もったいないです。。

蛇足その①

私は、
市川中車さんのお芝居を観ていて、
「実は、堀部は、十太夫の嘘に気がついていたのでは?」
「堀部としては、「貴殿はまだそれほどの立場ではないにしろ、そのうち今答えたようなもっと高い地位のお役目になるだろうよ」と思っていたのでは?」
と感じました。
他の方の見方が知りたいところですね。


蛇足その②

これは、本当に、しょうもない、
蛇足ですが、
先日浅草歌舞伎で「魚屋宗五郎」の磯部を見ていたので、「磯部も松平隠岐守みたいに思慮深いと良かったのになぁ。」などと、野暮なことを考えていました。
いや、磯部の隼人くんのお殿様はカッコよかったからそれはそれで良かったけど。。

明日は浅草歌舞伎の第一部に行くので、
今日はここでたたみます。

では、また次回の投稿で!

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