きっと楽しいこともあるのに

きっと楽しいこともあるのに

悲しいことばかりみている

きっといいこともあるのに

悪いことばかり畏れている

どうやって前向きに 何も深く思い詰めずに
普通に 生きていたのか思い出せない

久しぶりにひとり 東京にたてば周りの人間から出る
情報量の多さに飲み込まれ 音は五月蝿すぎて聴こえず
何を見ても何も見えない

咳き込む人や嗚咽の聞こえるトイレやスマホだらけのテーブルに吐き気がする

こんなにも人がいっぱいいて会話なんて聞こえてこないのだ 何を 皆が何を見て何を思っているのか 分からない

上を走る電車の音がする


目の前のひとり席に お節介にも他人に 忘れ物ではと声をかけている人をみつけた

赤いスーツケースを横に その人と私だけが 本を広げている

少し安心して物語へとかえっていく

ずいぶん 弱くなってしまった

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