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新しいパブリックリレーションの形

前回の大統領選でFacebookのビッグデータを不正入手して、トランプ大統領を生むことに貢献したケンブリッジアナリティカ社(以下CA社)の内部告発についてまとめた記事です。

CA社は、ビッグデータを活用して人種差別主義を基盤としたムーブメントを起こそうとした事が明らかになりました。

もともと、民衆を動かす上でのPR(パブリックリレーション)は、新聞・テレビなどのマスメディアをいかに動かすか、がもっとも重要な点でした。

1992年から1995年に起こったボスニア紛争では、ボスニア共和国はアメリカ世論を動かすためにPR会社を雇い、現実は、どちらかが一方的に悪と言える状況ではないにも関わらず、見事にセルビア人の残虐非道さを市民に納得させ、アメリカ政府を動かすことに成功しました。

PRの技術は国家をも動かす事が出来る大きな力でした。その力はマスメディアのレバレッジをいかに効かす事が出来るかにかかっていました。

『女神の見えざる手』という映画は、超一流のPR担当者が、世論を変えるためにメディアをいかに操作するかについて、面白く描いているのでオススメの映画です。


しかし、あらゆる行動ログがネット上に溜まる現代においてPRの概念が変わりました。これからのPRは、データサイエンスで、どのターゲットにどんな情報をぶつけるかを最適化する事で大衆操作を目指します。そして、効果が出るまでひたすらにPDCAを回し、最適な予測モデルを作り続け、目的を達成するまで分析を繰り返します。

データサイエンスの技術は、非常に大きな力なだけに、扱いに十分注意しなければいけない。そして、その技術を扱う我々も、自分の信念に反する事であれば、どんなに高い報酬をもらえても、それを断る事が出来なければいけないと強く思いました。

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