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夕暮れ~夜

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夕暮れ~夜 思いにふける
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#忘れられない恋物語

【詩】片想い

静かな夜は長い夜 部屋に漂う沈黙が 隠したはずの 小さな声を拾っては 想いを形にしてしまう 届けられない温もりに 零れた涙が流れ込み 想いを溶かそうとするけれど 夜はまだまだ続くばかり 一晩中 尽きない時間と 尽きない想いに 私が私に驚くばかり 募る想いに 驚くばかり

【詩】お疲れ様を

とぎれとぎれの夕焼けが ビルの間を染め上げて 今日の終わりを告げて行く 一日を 背負い終わった後ろ姿が 波のように流れ出す ここにはない 私にはもう見えない そんな背中を探しては 二度と言えないお疲れ様を 真っ赤な空に燃やすだけ せめてあなたの夕暮れを 少しでも彩るようにと

【詩】夕暮れに

明るさが薄らいで 青空にゆっくりと 広がり染まる紅い色 大空が一斉に暮れ始める 時色の流れに佇んで 呼び覚まされる切なさは 心に色を灯してくれた そんなあなたの言葉達 心を染めた想い人 夕暮れに 過ぎた昔を垣間見て 戻らぬものに涙一粒

【詩】薄紫

夕陽が残していった 薄紫の名残り空 今日の最後の色模様 あなたが残していった 優しさに似た哀色が 二人の最後の色模様 夜の闇が巡りくる 一人の闇が巡りくる せめて未練を灯しても きっと夜よりも深い色

【詩】知らないふり

静けさが舞い込んでくる 暗闇が降りてくる 夜がやって来る 溢れる切なさの 始まりの場所 知っているのに見ないふり 夜を長くしているのは 私のせい もうあなたの時間に 私はいない 分かっているのに気づかないふり 夜を暗くしているのは 私のせい さよならという言葉さえ 手離せず 心を泣かせているのは 私のせい

【詩】秘密基地

二つの重なる淋しさに 小さな色が灯り始める 紡ぐ言葉が明るさを 想う心が眩しさを 鎧が溶けていく心 忘れ始めた涙の跡 二人に響くやすらぎが 過ぎる時間を止めていく 秘密基地に 今日も二人の灯が揺れる 合言葉は いつもの時間に会えますか