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私 心の内
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2023年4月の記事一覧

【詩】時の場所

午後らしい木漏れ日が そっと背中に寄り添って ぬくもりはじめた心が 奥底へとめぐり出す あの日 想いを置いてきた場所は 滔々と時間が降り積もり 思い出がいつしか憧憬に 行くことはできても 戻ることは叶わない 今は心だけが行ける場所 そんなところがあることは きっととてもあたたかい

【詩】こころの季節

見上げれば 透き通る青さがどこまでも 澄んだ陽ざしになびく雲 見渡せば 儚い桜色から緑葉へ 誘う風に沸き立つ眩しさ 過ぎ行く日々に覆われて 心の季節の彩りは 色付くことも久しく 本当は私にも 私の季節が流れていると こんな日は 心の目を開け 自分を眺めてみたい

【詩】雨と傘

やわらかい雨が 往く季節に寄り添いながら 新しい時を降らせている この雨に心を任せ 今の私を流せたら 次の時間が訪れるかな この時に心を任せ 今の私を流せたら 新しい私が訪れるかな それでも それでも 何を守りたいのか まだ傘を差している

【詩】あかね色

仕舞支度に空を染め 夕陽が今日を連れて行く 茜空が 名残り色に見えたなら きっとその日は満ち足りて 切な色に見えたなら きっとその日は淋し気な やっぱり今日も 慣れた手つきで 心を包み きっと明日はと 見送る私の切な色

【詩】ありったけ

青空が溶け込んだ空気を 零れそうなほど吸い込んで 私をはじめる 歩くのが下手な私の道は きっと今日も曲がってくねって つまづいて でもこんな澄んだ日は 晴れた光に照らされて 上を向けば涙も乾く 仕方ないけど 私は私 ありったけ歩いてみる

【詩】たんぽぽ

小さな輪の中 いつも半歩さがるのは 私には何もないから 大きな輪の中 いつも少しうつむくのは 私には何もないから 灰色の 道の隙間に咲く花でさえ こんなにも堂々としているものを きっと生きる強さが違うから