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オフィーリアの面影

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美術・音楽・映画その他、感想評論ごった煮
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#コラム

闇系彼氏に首ったけ-ちょっとした悲劇と美術試論-

恋は突然に20XX年1月8日、AM5:25。 画面が完全にブラックアウトしたノートパソコンの前で、私の頭は真っ白になっていた。 神様。 確かに私は、この『彼氏』様と、2年間別れたいと言い続けてきました。 歴史に名を残すメンヘラで、サイコパスで、クッッッッッソきまじめで、超病み系すぎる『彼氏』様と、別れたいと願ってきましたよ、ええ。ええ。そりゃあもうツイッターのタイムラインを毎日「もうむり」「つらい」「逃げたい」といったワードの連続で荒らしまわるくらい、切望してきましたとも

あなたはどう鑑賞する?(導線編)

最近の美術館は、自由導線の傾向が高まってきているのかな? と思ったのでそのことの覚え書き。 PIXARのひみつ展で体験したスーパー自由導線新潟県立近代美術館で開催中の「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」(~11/24)へ行ってきた。ざっくり言うと、PIXARのアニメーションがどうやってできあがっているのか、を、工程ごとにブースを作って体験型で見せていく展覧会だった。とても楽しかった。 最初に「PIXARとPIXARのアニメーションとは?」というプレゼンテー

「情の時代」を生きる

エーリッヒ・フロム『愛するということ』を読み終えたとき、人生で何度も読み返したい本がまた一冊できたことをとても幸せに思った。愛の問題とは愛の対象の問題ではなく愛の技術の問題なのだというフロムの哲学は、これからの私の人生において間違いなく助けになるだろう。 奇しくも、あいちトリエンナーレ2019のテーマが「情の時代」である。数日のうちに有識者による多くの見解が飛び交っているので、美術好きに毛が生えた程度の研究者の卵(しかも割れた)でしかなかった私が改めてこのことについて言及す