「世界で一番美しい少年」の感想
なにか文章を書きたいと思い初めて投稿します。
拙い文章ではありますが読んでいただけると嬉しいです。
①はじめに
・ネタバレを含む内容となっています。まだ映画を観てない方は読むことは推奨しません。
・また人によっては不快な表現があるため、そのように感じた方は読むのを止めて下さい。
・長ったらしく書いてるので鬱陶しいです。
・「ベニスに死す」は観たことがないです。
・記憶があやふやなので間違ってる部分があると思います。ご了承ください。
それでも大丈夫な方は②以降へ
②映画を観る経緯
ある映画の告知ツイートが目に止まった。
なんせタイトルが「世界で一番美しい少年」だ。
美しい顔面を見ることが生きがいの私が惹かれないわけがなかった。
その告知ツイートの写真を見ると、なるほどと思った。
正直大仰なタイトルだと思ったが、世界で一番美しいと称されるだけあってそこにはよく見る天使の絵のような美しい少年がそこにあった。
まぁ何度も言うが私は大層美しい顔が好きなので、この美しい少年を見ることが出来るのならばと観ることを決めた。(一応言うが決してショタコンではない。)
そして、映画公開日初日の12/17にそれなりに期待を胸に抱いて映画館へ向かった。
その日は渋谷に行く用事もあったので、ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞した。
(これは行った時に知ったのだけれど、ヒューマントラストシネマ渋谷では映画「ベニスに死す」でビョルン・アンドレセンが実際に着ていた衣装が展示されていた。
今もあるかは不明だが、観に行きたい方は是非。)
③感想
さて、いよいよ本題に……入る前にまずあらすじから。
簡単に言うと、映画「ベニスに死す」の主演を務めたビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー映画である。
では本題の感想はというと
しんどい!!!!
これに尽きる。
1つの映画によって1人の人間の人生が大きく狂わされたというのもあるが、詳しいことは以下の通りである。
最初にも書いた通り正直記憶があやふやなので細かいことは忘れているが、その中でも印象的なシーンを挙げる。
・「美しい」は凶器になる
私は「美しい」という言葉を褒め言葉として使いまくっている。
それを踏まえてこの映画を見ると考え無しに「美しい」と連呼していた自分を殴りたくなった。
「ベニスに死す」の監督である、ルキノ・ヴィスコンティが
「世界で一番美しい少年」
と称し
この言葉によって彼の人生を狂わされることになる。
彼はこの「美しい」という評価で狂気的な好意、悪意、知らなくていい世界のことまで知ってしまった。
私が何気なく言っている「美しい」は人によっては凶器の言葉にもなると痛感されられた。
・オーディションのシーン
(※児童虐待について少し触れます。不快に感じる方は読まないで下さい)
これが一番印象に残っており一番精神的にキツかった。それぐらいあのシーンは心にダメージを負う。
ビョルン・アンドレセンの人生が大きく狂わされた第一歩目のシーンであるということもあるが、なにより児童虐待を疑うような場面であったからだ。
それが、ビョルン・アンドレセンが服を脱いでと指示されるシーンだ。
彼は戸惑いの表情を浮かべて服を脱ぐことを抵抗していた。それはそうだ。見知らぬ人の前で服を脱ぐことは嫌だろう。彼が抵抗してオーディションの審査員の1人が話を逸らしたため服を脱ぐことは免れたかと思ったが、次のシーンに切り替わったときには服を脱いで上半身裸の状態で写真を撮られていた。
私は酷く気味が悪く感じて映画館の中で叫びそうになった。
・「ベニスに死す」を演じた直後の自分自身のことを恋人に語るシーン
正直ここら辺は本当に記憶に曖昧だが、「薬を飲まされた」という発言を強烈に覚えている。
それぐらい彼のいる芸能界の世界は、彼の周りの人間は気が狂っていたというのがわかる。彼自身も若干麻痺していたのではと思われるほど少し悲しげにしかし淡々とそのことを語っていた。
恋人がその話を聞いて涙を流しているところから彼は少し安心したような表情で恋人に「50年も前のことだから」と慰めていた。きっと彼はあそこで少し救われたであろうし、観客も救われたシーンだった。
そして彼の恋人の反応からより鮮明にあの時代の彼の周りがいかに狂っていたかが象徴されたようなシーンでもあった。
・「ベルサイユのばら」の作者、池田理代子先生との対談シーン
(※ここから池田理代子先生に対して酷評するため、ファンの方や不快に感じる方は読まないで下さい。)
ここは2番目に印象に残っている。
彼女は「 彼のことを理解していたのではないか」と自身を評価していた。
残念ながら映画を途中まで見ていた私からしたら到底彼を理解しているとは思えないと感じた。
池田先生は多分映画を見てあの発言を後悔するかもしれないとも思っていた。
彼が「ベニスに死す」によっていかに人生を狂わされたか、彼がどのような私生活を送ってにどれだけ傷ついたか……あの映画を見た後に「理解している」とは絶対に嘘でも言えないだろう。
あれは彼が逆上してもおかしくはなかった。
けれど彼は穏やかな顔で、しかしやはり少し悲しい顔で聞いていた。
それが観ていていて心苦しかった。
・ビョルン・アンドレセン恋人に振られるシーン
ここは私のお気に入りのシーンだ。(ここは1番の感想である「しんどい」には関係ない。)
ビョルン・アンドレセンが電話で恋人に振られるシーンだ。
ビョルンの過去を聞いてあんなに健気に泣いていたのに電話口ではあの姿は嘘のように逆上していた。
「あんなに貴方に尽くしたのに貴方は私に何も返さない。来日したときも放置ってなに!?」
記憶の中ではこのような感じだったと思う。
来日した時というのは、池田先生との対談の時だ。
彼女も一緒にいたらしい。ただ彼女は1人ホテルに残されていたようだが。
私は彼に普通の大人の恋人のように振る舞えと言われても多分出来ないだろうと思っていた。彼女はかなり包容力ある人間ではあったし、彼にそれを求めるのが間違いであると分かっているみたいだったが我慢の限界だったらしい。
最後の「クソ野郎!!!!」という捨て台詞は最高だった。
・最後のビョルン・アンドレセンの娘が父の過去について吐露するシーン
彼の娘が父であるビョルン・アンドレセンについて語るシーンは私たちの気持ちを代弁しているようであった。
「あのオーディションのシーンを止めさせたい」、オーディションを勧めた彼の祖母に『どうしてそんな酷いことをするの!?』と言いたい」
これは私も映画を観ていていて1番に思っていたことだった。それは私だけでなくあの場にいた観客の殆どが思っていたことだろう。
まとめ(「しんどい!!!」の中身を詳細にした)
※ 以下はいわゆる最初に述べた感想の「しんどい!!!」をより詳細に「しんどい!!!!」という言葉を使わずに「しんどい!!!」と記述しているだけ
ビョルン・アンドレセンの人生を赤裸々に生々しい作品であった。ドキュメンタリー作品としては素晴らしい。そう感じた。
だがビョルン・アンドレセン、1人の人間の人生として考えるとなんともやるせない気持ちになった。
彼は「ベニスに死す」のオーディション会場に足を運ばなければきっとあんなに壮絶な人生を歩むことも彼自身に絶望することもなかっただろう。「美しい」という言葉が凶器に変貌し彼をあそこまで傷つけなかっただろう。そう思わずにはいられないほど彼の人生には胸が苦しくなった。
彼は未だに子供のままだ。見た目だけがどんどん年老いて彼の中身はずっとあの映画を撮った、10代の頃のままだ。
しかし映画では自身の娘や親に向き合って少しだけほんの少しだけ、傷ついた10代のままの彼が大人の1歩へと歩み出したような気がした。勝手な解釈だが、その部分に私は救われた。
彼はこれからもきっとずっと今までの傷を抱えて生きていく。彼のこれからの人生は傷つくこともあるかもしれない。
だけどもし叶うならば、彼がこれから傷つくことがないように、そう祈りたくなるような映画だった。
正直あまり良い感想を書いてはいないが1度観た映画で3000字も感想を書かせるような強烈な映画だったことは間違いないので、興味がある人は1度観ることを勧める。
以上で終わりになります。
長々と失礼しました。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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