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番外編 コトナリ研究所(前編)

とある魔法使いが東京にいた。
彼はエイプリルフールの天災を目にしていた。
この世界の行く末を哀れに思った彼は、才能ある者を弟子に迎えた。
弟子たちに、生き抜くための能力を与えるための修行を命じた。

弟子は全部で10人いた。
だが、魔法というものを扱う危険さを、弟子たちは身を持って知る。

ある日、一人が突然叫び出した。
修行をしていた家から転がるように飛び出し、ついに帰ってこなかった。
弟子は9人になった。

またある日、一人がふらりと歩き出し、外に出ていった。
少し経って家の屋上から落ちてきた。
大した高さでは無かったが、運悪く頭から落ちた。
首がありえない角度に曲がり、息絶えた。

何かがおかしいと思った弟子たちを魔法使いは集めて言った。
「僕は、君たちならできると信じている。」
「だが怖いと思うなら、逃げてもいい。逃げる力があるのなら。」

次の日の晩、弟子の内、二人が他の弟子に別れを告げる。
縁があったらきっとまた会えると、皆で励まし、送り出した。
しかし、その再会は意外なものとなった。
逃げた弟子の1人が帰ってきたのだ。
その片目は血にまみれていた。

『遺された』6人の弟子は真実を知ることになる。

既に、街はモンスターに支配されていた。
弟子たちは、師の作った結界に守られていたのだ。
そして、修行の終わりは…

その結界から出るための力を得ることなのだと。



イラスト あの子様


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